春・夏・秋・冬

 「アジア各地はもとより国内でも多大の犠牲を出したことを考えると、戦争を指導した人の責任は免れない」(後藤田正晴元副総理)。明快な論理だ。その戦犯をまつっているのが靖国神社。小泉総理が8月15日に公式参拝するということは、アジア侵略を正当化することにほかならない

▼そういった過去に対する反省のなさを示す出来事が最近またあった。日本の敗戦の日(朝鮮では日本の植民地支配から解放された記念日)を機に名古屋、大阪、東京で開かれる集会に出演する予定だった朝鮮代表団の入国を、日本政府が拒否したのだ。今回の代表団には、愛知県の中島飛行機半田製作所に強制連行された崔翼天さんら3人の強制連行体験者が含まれており、貴重な証言が聞ける機会になるはずだった

▼日本政府は、「つくる会」の教科書検定合格を非難する集会が6月に開かれた際にも、朝鮮代表の入国を拒否している。強制連行体験者の来日拒否や歴史わい曲教科書批判に対する黙殺の動きは、日本が過去の侵略行為を反省しようとしていないと受け取られても仕方がないもの

▼二度と戦争を起こすまい、平和を願うと小泉総理が本当に思うなら、戦犯が合祀(ごうし)された神社に行く前に、朝鮮などアジアの人々の話に耳を傾けるべきではないのか

▼この問題と関連しては、同盟国である米国すらも、過去の歴史を正当化する「修正主義」との論調で一致しているという。アジアのレベルだけではなく、日本は世界から孤立しているのだ。そのことが認識できた時、処方せんを得る道が開かれる。(聖)

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