春・夏・秋・冬

 「8月15日に小泉首相が靖国神社を参拝するとどうなるか、世界中が見ている」「教科書問題でも、中国と韓国から抗議が来ているだけではない。米国の学会でも、日本の今度の教科書に抗議するといって署名を集めている」

▼7月中旬、朝日新聞主催で都内で開かれた、21世紀日本の針路を探るシンポジウムでの、米国の北東アジア問題の権威、スカラピーノ・カリフォルニア大学名誉教授の指摘である

▼フランスのシラク大統領も同月初、小泉首相との会談時、「日本は過去の問題をいつまで放置しておくのか」「日本は未来に向かって歩み出すべきだ」と忠告した。まさに世界が日本の過去の問題を見つめている。酷暑の続く日々だが、とりわけ今年の8月15日は日本にとって「暑い日」になりそうだ

▼しかし、日本に向けられたこの世界の厳しい視線に気がついているのかいないのか、あるいは無視をしているのか、小泉首相の言動にはまったく「ぶれ」がない。「戦争責任がどうかという問題以上に、尊い戦没者の犠牲のもとに今日があることを忘れてはならない」

▼なんという言い種か。彼のいう「戦没者」とは、朝鮮を初めとするアジア民族にとって主権国家を侵してわが物にし、無この人々を虐殺、言葉を財産を、そして青春を有無をいわせず奪った「戦没者」である。その認識をはっきりとさせずには、手を握りあえない

▼「(かつて)日本はうまく逃げてきた」「だが、今の日本は逃げてばかりいられない」と宮沢元首相はいう。ならば過去と向き合わなければならない。(彦)

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