それぞれの四季

政治とメディア

金春正


 今、マスコミは連日のように小泉内閣の話題を取り上げている。ワイドショーはその名の通り1時半から2時間というワイドな放送時間枠があり、視点さえきちんと定まるならば大きな世論を形成するうえで色々な可能性を秘めているだろう。

 しかし、最近のメディアは、まるでアイドルを追いかけるように政治家を扱っている。メディアが政治を取り上げる場合は、国家権力が間違って行使されていないかどうかを常に監視する視点が必要だと思う。そこにメディアの存在感があるのであって、権力とゆ着する言論や政治家を賛美するだけのメディアなど百害あって一利なしである。

 政府のハンセン病訴訟控訴断念についても、ほとんどのメディアが「英断」などと報じていたが、果たしてそうだろうか。

 大阪での朝鮮人被爆者援護法訴訟で、平然と控訴した政府の二枚舌になぜ触れないのか。ハンセン病の受難の歴史の中で苦しんできた朝鮮人の人間復権や補償漏れが懸念されていることも合わせるとやりきれなさを覚える。

 また、靖国神社公式参拝を公然と繰り返す首相に対して、日本のメディアがひたすら追従する様子にはあ然とする。これでは、戦前の御用新聞の大本営発表の垂れ流しと何ら変わりない。日本の侵略戦争によって、アジアに2000万人の犠牲者をもたらしたあの惨禍を繰り返さないと誓った日本国憲法の精神をもう忘れたということか。

 戦争を起こすのは、いつの世も権力者であり、戦争の弾除けになるのは、庶民である。ワイドショーに乗せられてはなるまい。(生涯学習振興公社非常勤職員)

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