取材ノート

在日1世が伝える先祖の人柄


 6月末の第4回総聯同胞故郷訪問団の同行取材を通じて、統一の実現、民族が1つになることの切迫性を改めて実感した。それはつきつめれば、離散した一族が1つになり、繁栄していくことを意味する。

 昨年の7月初め、総聯同胞の故郷訪問が実現すればまず何をしたいかという取材を福岡県内に住む1世同胞に行った際、墓参りを上げ、「墓地に行きさえすれば、幼い時の記憶をたどって何とか先祖の墓を探すことができる。私がその位置を確認しておけば、後日、子どもたちは容易に墓参りができる」と語っていた。

 その時は、予測された答えだっただけに、これといった印象は持たなかったが、今回の同行取材で、墓参りの現状、とくに「墓の位置の確認」という言葉の意味を理解することができた。

 南朝鮮では現在、多くの地域で火葬を奨励しているが、かつては土葬が主だった。そのため、1世の父母たちの墓は山の中にある。今ではその多くに墓石が建てられているが、かつては石もなかった(現在もない場合もある)。そのため、その子孫が故郷を離れた場合、墓参りをしようとすれば、墓の位置を知る1世が直接確認する必要がある。

 また、現地の人たちの話によると、植民地時代から70年ごろまでは、食べることに忙しくて墓参りをする余裕すらなかった人が少なくない。そのため、墓石がなければ、現地の人ですら先祖の墓の位置が分からなくなることもしばしばあるという。

 さらに、墓までの山道は険しく、林の中にある場合もある。こうした理由や、故郷滞在中に襲来した台風によって、墓参りを断念せざるを得なかった訪問団メンバーもいた。墓参りができたメンバーは、墓前で故人を知らない親族たちにその人柄などを語り伝えた。

 総聯同胞故郷訪問団事業の別の側面を思い知らされた思いがした。(羅基哲記者)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事