祖国は君のものじゃない
目顔で合図、唇をかめばそれが答え
たくさんのしるしが
集まって、はためいて、迫り来る
あのどっしりとした風の音は
祖国の空は青く
鳥たちはほら、軽やかに行き交うのに
君と僕とそして
僕は君を、君は僕を
こんなにも長い間
憎みあわなきゃいけない不自由を
いつまで耐えていくつもりなんだ
祖国の山々は連連
北に南にほら、むつまじく連なるのに
君と僕とそして
僕と君とは
善良な祖国に線を引き、好色におぼれる奴らに
心にもない賞賛の諸手を
いつまで高々と挙げているつもりなんだ
(中略)
祖国に吹雪が舞う日には
北の赤い軍衣肩章の上にも
南のカーキ色軍衣肩章の上にも
真っ白な雪がずんずん積もり
喜ばしくも同じ白衣の君と僕へ
再び帰ることができるのに
君と僕とそして
君は君のものじゃない
僕もまた僕のものじゃない、そんな銃刀を
君は僕の胸に、僕は君の胸に
いつまでこんなふうに突きつけるつもりなんだ
目顔で合図、唇をかめばそれが答え
たくさんのしるしが
集まって、はためいて、迫り来る
あのどっしりとした風の音は…
(「韓国詩選」より)
ハン・ムハク 1926年 咸鏡北道・城津生まれ。詩集に「新しい秋の速度」。(訳・姜和石) |