春・夏・秋・冬

 「総理、総理、総理」発言で一躍、その名が「全国区」になった社民党の辻元清美衆院議員。ピースボート(平和の船)活動時代に訪朝経験もあり、「集団自衛権」や「靖国神社参拝」など追及の舌鋒は鋭い

▼先日も参院選挙応援演説の中で小泉首相の「靖国神社参拝」問題を取り上げ、「イタリアでのサミット(主要国首脳会議)参加の際に、ムッソリーニの墓を訪れるようなもの。絶対に容認できない」と、ばっさりと切り捨てた

▼この例え、非常にわかりやすい。ムッソリーニといえば、1922年10月の「ローマ進軍」によって政権の座を手にしたファシスト党総裁。ヒトラーが第3帝国、すなわナチスドイツ建国にあたってその手法を手本にした人物である。いち早くエチオピアなどアフリカを侵略。ヒトラーとともに第2次世界大戦を引き起こし、イタリア敗戦と同時に民衆の手によって公開絞首刑にされた

▼民衆のこう血を絞ったファシストを、民衆自らがその手によって裁く――、民主主義の原点を見せつけられたようなものだと、改めて思ってしまう

▼このイタリアの例、そしてドイツの戦後補償に対する取り組みと日本のそれとのなんという落差の大きさ。作家の五木寛之氏はあるコラムで、「多くの日本人は戦後50余年をへて欧米人にかなり近づいたと錯覚している」と述べ、「しかしそれは幻想に過ぎない」と一蹴。「私たちは欧米人ではない。準白人でもない。脱アジア人でもない。東アジアの島国の『倭人』である」と強調していた。落差の大きさの根本要因だろう。(彦)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事