春・夏・秋・冬

 日本が単一民族によって成り立っているという暴論は近年、さすがに影を潜めるようになったが、それでも根強い。「つくる会」のわい曲歴史教科書も結局は、「万世一系の大和民族」をこれからの世代にアピールし、その認識を植えつけていこうという点に終局的な目的があると結論づけられよう

▼その根底には「神国日本」、つまり「神によって選ばれた大和民族意識」の鼓吹がある。原始の日本社会から始まってこんにちの文明の源になった様々な文化・技術をもたらした朝鮮や中国など大陸の民族に対する差別意識が意図的に作り上げられていったのはそのためだ

▼かつて騎馬民族説を発表して歴史界に一石を投じた江上波夫氏は、「朝鮮人に対するべっ視観などは、天皇家が朝鮮から来たことがわかればいっぺんに解消する」とどこかの雑誌の座談会で語っていたことがあった。しかし2、3世代にわたって鼓吹され続けてきた意識は、一朝一夕に変えられるほど容易ではない

▼現在、日本当局は「つくる会」の歴史わい曲教科書に対する北南朝鮮、中国などの修正、さらには検定取り消し要求に対して、「制度が存在するのだから応じられない」とつっぱねている。この論理、よくよく吟味してみると、朝・日国交正常化交渉席上での、過去の植民地支配に対する「植民地支配は当時としては合法だった」「だから謝罪・補償には応じられない」という論法と似通っている

▼「三つ子の魂百まで」というが、歴史のわい曲は小手先の技術論では解決されない。それこそ構造改革が必要だ。(彦)

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