私の趣味―登山

和と輪が広がる共有の場

東京・板橋区 李福権さん


様々な自然にふれる感動と喜び

 72歳。だが、とても年相応には見えない。いたって元気だ。ここ数十年間、定期検診以外で病院の門をくぐったことがないという。

 幼いころから自然に触れることを好んだ。教師時代は、学生らを連れてよく山を登り、また、毎年夏には、キャンプファイヤーをしたりした。教室の外で、学生らに自然に触れる大切さを教えた。

 板橋区在住の李福権さんは、8年前に結成された板橋健脚会の会長を務める。以来、趣味と健康を兼ねて、本格的に登山をたしなむ。

 「人は自然の中に生きている。その自然には様々な感動があり、それに接するたびに大きな喜びを感じる」

 若いころ、山形蔵王に夏山登りに出かけた時のことだ。軽装姿で登ろうとした李さんは山を管理する主人を驚かせた。

 「あの時ジャンパーを借りてなかったら、今頃は…」と顔を紅潮させる。

 それ以来、山を登る以上に準備に神経を費やす。健脚会結成当初、会で登山する時、李さんは欠かさず1人でコースを入念に下調べする。そのかいあって、今では箱根の登山コースは、隅々まですべて頭の中にインプットされている。

 週末は、ほとんど家にいない。山仲間と登山に出かけるか、もう一つの趣味である囲碁にふける。困ったことは、週末に遊びにくる孫の顔を見られないこととか。

 「唐の詩人白楽天の言葉に『富に随い、貧に随い、まさに歓楽すべし、口をひらいて笑わざるは、これ愚人』という名文句がある。これはまさに私の人生そのもの」

 そう語る李さんは、登山の魅力について、「同じ志を持った仲間たちとの和と輪が広がり、それを共有できる喜び」という。

 登山愛好家があこがれる百名山も、今まで36ヵ所踏破した。今後の目標は、まずは半分の五十山に登ること。

 結成以来、月に1度登山会を行ってきた板橋健脚会は、7月に100回を迎える。李さんは登山会を1回も欠かしたことはない。彼の健脚ぶりと情熱がうかがえる。
(千貴裕記者)

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