障害者問題に理解と関心
空気変えた虹のかけ橋−各地に「家族の会」
各地に会ができるきっかけとなった昨年8月の「ムジゲin大阪」
参加者160人が交流を深め、多数の学生ボランティアも参加した
同胞社会で心身障害者の問題が理解と関心を集めるようになったのはここ数年のこと。当事者たちが横のつながりを持ち、声を上げ始めてからだ。6年前、1人のオモニの呼びかけから始まった、障害児を抱える同胞家族のネットワーク、「ムジゲ(虹)会」の存在は、まさに虹の架け橋となって、徐々に同胞社会の空気を変えていった。昨秋、初めて大阪で開いたイベントをきっかけに、各地でも「ムジゲ」と名づけられた家族の会が結成されている。
始まりは6年前 「ムジゲ会」の申桃順会長の次男(初級部3年)はダウン症だ。今は元気にウリハッキョに通っているが、小さい頃は合併症の手術、治療のため、3年間にも及ぶ入院生活を送っていた。その小児病棟で同じような立場の同胞のオモニたちに出会ったのがきっかけで、「お茶でも飲みながら悩みや経験を話し合おう」と1人1人声をかけ始めたのが「ムジゲ会」の始まりだ。1995年のことである。 会員は口コミで徐々に増え、全国に輪が広がった。忙しいオモニやアボジたち、また地方の会員たちを結ぶための会報「ムジゲ通信」の発行、2ヵ月に1回の集まりなどを続けてきた。98年5月には青商会の協力で、東京ディズニーランドに全国から初めて会員が集まり交流会を行った。 広がっていく輪 昨年8月、「ムジゲ会」による2回目の全国的なイベント、「ムジゲin大阪」が開かれた。総聯各組織がバックアップし、会員はもちろん福祉に携わる同胞、関係者ら160人が各地から集まり、セミナーや交流会に参加した。 それから2ヵ月後の昨年10月、「愛知ムジゲ会」が発足した。愛知にはもともと「ムジゲ会」の会員がおらず、「ムジゲin大阪」に参加した名古屋朝鮮初級学校付属幼稚園の教員の話を聞こうと集まったのが発足へのきっかけとなった。また12月には、広島で「ヒロシマムジゲ会」が生まれた。 今年に入り、兵庫では3月の姫路、神戸両市の「ムジゲ連絡会」設立を経て、活動を全県的な規模にしようと5月、「兵庫ムジゲ会」が結成された。6月には、「大阪ムジゲ会」(TOP参照)と「下関ムジゲ会」がそれぞれ発足している。7月に入り、千葉でも「千葉ムジゲ会」が産声を上げた。これらはいずれも、各地に住む「ムジゲ会」会員らが中心になって作られた。お互い、連絡も密に取り合っているという。 ネットワーク発足 総聯は3年前の98年5月に開かれた第18回全体大会で、初めて障害者問題を取り上げた。同年秋には各地で「在日同胞の生活と権利シンポジウム」を開催して同胞の声を聞き、障害者問題をはじめ福祉を重視していく姿勢を示した。 とくに各地の朝鮮学校では、障害児教育と同時に、健常児も含めた福祉学習の両面での取り組みが盛んになっている。 そして19全大会を前にした今年5月、各地に作られている家族の会の活動などを組織として支えていくための、「在日トンポ福祉ネットワーク」が結成された。8月に長野で開かれる第1回総会から本格的な活動に入ることになっており、総会には各地の「ムジゲ会」代表らも多数参加する予定だ。(韓東賢記者) |