それぞれの四季

図書館の活用を

金春正


 この春から足立区の公立図書館で働いている。ある日のこと、「キムさん、制服を着た小学生たちが大勢来ているよ。チョゴリを着た先生もいるし…」という声にうながされて出て見ると懐かしい子供たちが本を探している最中であった。懐かしい顔、顔だった。朝鮮学校の教員時代、教員が毎日交代で、スクールバスに同乗して家の近くまで送り届けていたために、小学生と顔なじみの間柄になっていた。

 当時、2年生だった彼らはウリマルもたどたどしく、その日の授業で習った知識や歌を自慢気に話してくれ、なぞなぞをしたり、指遊びをしたり、テープに合わせ歌ったり、それはそれは楽しいひとときだった。そんな彼らももう4年生。ウリマルもしっかり話し、少年団になったという。分団長は誰で、僕は学習委員だと胸を張る子。いつもほうたい姿だった子がたくましくなり、照れくさそうに鼻をピクンとならしていた。

 偶然の再会だったが、彼らが良い本に出会い、広い学問を身につけてほしいと心の底から思った。そのためにも今日の様に図書館を大いに利用して欲しい。IT導入によってわざわざ大きな図書館に足を運ばなくても地域の図書館からも自由にアクセスできるサービスが始まっている。

 予算が厳しいウリハッキョが効率的に図書館を利用するならば子供の学びの場もいっそう広がるに違いない。もっと読書に親しめる環境ができれば向学心ある朝鮮の子供たちにとって「鬼に金棒」。そんな環境を作るべき一助を担えるように、6月後半と7月に予定されている新任研修でたくさん学んでこようと思う。
(生涯学習振興公社非常勤職員)

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