春・夏・秋・冬

 検定合格した「つくる会」教科書の採択を阻止しようと、日本市民たちの運動が各地で地道に行われている。都内では、「つくる会」の元締め(西尾幹二)の地元、杉並区で連日のように署名運動や講演会などが行われている。「つくる会」の影響下にある教育委員が多く、とくに採択の危険性が高いからだという

▼全国的に見ると2、3の私立学校が採択を決めたと報道されているが、その内容のひどさから、やはり二の足を踏む所が多いらしい。朝鮮問題を長く担当してきた知り合いの記者は、「物語を歴史だとして子供たちに押しつけるほど、日本の社会は落ちぶれていない」と、その良心を信じたいようだ

▼彼の友人の近現代史を専門とする学者は、良心だとかをうんぬんする以前の問題として次のように語る。「私は非常に楽観している。というのも、エレベーター式に中学から高校に上がれる私立学校はいざ知らず、受験戦争に勝たないと一流校に進学できない公立学校のほとんどは、恐らく採択できない」

▼というのも、「日本の学校教育は偏差値教育。物語であるつくる会の教科書を使うと、子供たちが試験で点数を取れない。教育ママたちが黙っていない」と、笑い飛ばした

▼しかし、そこは学者。「独り善がりの、皇国史観の根は深い。その皮を一枚一枚はいでいく作業が過去の清算を促すことにもなる。一朝一夕に結果の出せる道程ではないが、それをやり遂げないと朝鮮などアジア諸国の信頼は得られない」。近々、仲間の学者たちを集めてシンポジウムを開くことを決めている。(彦)

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