春・夏・秋・冬

 米国が進めようとしているミサイル防衛(MD)構想に日本が参加することは、憲法で禁じられた集団的自衛権の行使に当たる。先日、テレビ討論会で防衛庁長官がある大学教授から参加有無を質問されて、「今は考えていない」と答弁。「日米安保の根幹にかかわる重大発言だ」と指摘され、顔を青くしていたことを思い出した

▼足元のことだけに当事者たちは気になるだろうが、それにしてもなぜこうした重要な問題を、大所高所から論じることができないのか、理解ができない(そもそもが無知ということか)。MDは、米日問題としてだけ論じる筋合いのものではないからだ

▼まずは世界の平和を脅かし、次にABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約によって辛うじて歯止めがかけられている、2大核保有国・ロ米間の核軍拡競争に拍車をかけることになるからだ。これは表裏の関係にある

▼事実、いまだ「冷戦時代に生きる」最強硬派、ライス米大統領補佐官の「ロシアが了解しなくても米国はMDを進める」との発言を受けてプーチン大統領は、核戦力の強化で対抗すると返した。さらに皮肉たっぷりにMDは、「弾丸に弾丸をあてるようなもので不可能だ」とも

▼80年代、レーガン政権下で進められたスターウォーズ計画。宇宙を舞台に、弾道弾ミサイル迎撃を試みたものだが、実験はことごとく失敗。結局、水泡に帰した。夢物語だったのだが、それによって政権に直結する軍需産業は潤った。彼らの金儲けのために「ならず者(朝鮮)」呼ばわりされてはたまらない。(彦)

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