「新しい歴史教科書」に対する
「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者
補償対策委員会の評価−<上>
既報のように、朝鮮の「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会が「歴史わい曲教科書を許さない!
アジア連帯緊急会議」(10〜11日、東京)に寄せた基調報告は、@わい曲された歴史教科書に対するわれわれの評価A日本の歴史教科書わい曲騒動の本質と危険性B日本の歴史教科書改悪策動に対するわれわれの要求――からなる。「新しい歴史教科書」の内容を検討、評価した@の部分を2回に分けて紹介する。(中見出しは編集部。ちなみに委員会は同会議に参加を予定していたが、日本政府に不当に入国を拒否されたため、基調報告は会議で代読された)
◇ ◇ 周知のように、日本当局は4月3日、内外の強い反対にもかかわらず、4月3日、「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆、編さんした歴史教科書を国家検定で堂々と合格させた。 文部科学省が、内外の強い抗議と圧力に耐え切れず検定段階で一部修正を加えさせたとは言え、この教科書は依然として厳然たる歴史的事実をわい曲して日本の過去の侵略を美化粉飾し、他民族蔑視、女性蔑視の立場で貫かれており、本質上、何も変わっていない。 この歴史教科書の主な問題点を、次のように指摘できる。 「皇国史観」にもとづく反動性 第1に、徹頭徹尾、「皇国史観」にもとづく反動的な歴史教科書であるということだ。 「皇国史観」は「万世一系」の天皇制支配を日本の「国体」とし、大義名分論と国粋主義、排他主義にもとづいて構成された反動的な歴史観である。 「皇国史観」では神話と歴史を混同視しつつ、大和政権の支配を美化粉飾し、天皇の絶対化と天皇家の発生、発展を中心的事件と見る観点と立場ですべての歴史的事実を評価している。 また近代史においては、国内での専制主義支配と海外侵略を合理化し、肯定する反動思想で貫かれている。 「新しい歴史教科書」では、神武東還説を意図的に挿入し、日本のいわゆる「建国記念日」の日付を書き込み、天皇に関する荒唐無けいな神話を紹介し、歴史的事件や人物を天皇と関連させて綴るなど、日本の建国を天皇家の発生と結びつけ、天皇への幻想と偶像を植えつける方向で内容が記述され、構成体系や挿絵などが配列されている。 神武「天皇」、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、スサノオの命など天皇家を偶像化する神話が多く記述され、しかもこれらがその神話の背景にある歴史的内容を引き出すための引用や紹介ではなく、現存する天皇家の祖先を偶像化するための目的で記述されたこの教科書は、あたかも日本帝国主義時代の国定教科書を思わせる。 帝国主義植民地史観で歴史わい曲 第2に、帝国主義植民地史観にもとづき、朝鮮の歴史をはなはだしくわい曲した歴史ねつ造の教科書であるということだ。 檀君を始祖とする朝鮮民族は今から5000年前に平壌に都を定め、「朝鮮(古朝鮮)」という国を建てて国家時代、文明時代に入った。そして早くから輝かしい文化を創造して東方文化の開花に大いに貢献したばかりか、先進技術と文化を伝授しつつ、日本列島の文化発展にも多くの影響を与えた。 しかし、かつて日本帝国主義は朝鮮の悠久な歴史をはなはだしくわい曲、ねつ造して朝鮮侵略と占領、植民地統治のために巧妙に悪用した。 古代朝鮮は日本の「大和朝廷」のトップである「天皇」の支配を受けた存在であった、過去にもそうであったのでこんにちもそうでなければならない、という思想で貫かれたこの時期の日本帝国主義の国定教科書は、朝鮮と朝鮮民族、朝鮮史を日本の付属物に仕立てあげ、その合法則的発展過程を無視、抹殺した帝国主義植民地史観の極みだった。 このたび編さんされた「新しい歴史教科書」は、まさにそのような帝国主義植民地史観の再現だと言える。 まずこの教科書では、すでに北南朝鮮と日本の良心的な歴史学者によりその荒唐無けいさと反動性が暴かれた「任那日本府」説を公然と書き入れ、あたかも高句麗時代に朝鮮半島の南部に日本の植民地があったかのように史実を完全にわい曲、ねつ造した。 また、朝鮮の後進性と立ち遅れを主張する「停滞論」「外因論」の立場から中世期の様々な事件や事実に対し、間違った評価と、勝手で誤った結論を下している。 モンゴルの騎馬軍団のひづめのもと、抵抗するすべての国と民族が灰と化し、政権と国家自体が維持できなかった当時、40年間も屈することなく血みどろの抗争を繰り広げて独立と自主権を守り抜いた高麗を、モンゴルの「属国」であったと断定しているが、これこそ言語道断だと言わざるをえない。 李氏朝鮮による倭寇撃滅事件についても、朝鮮軍が先に対馬への侵略事件を挑発したかのように事件の真相を転倒し、倭寇の中に朝鮮人も多く含まれていたという奇想天外な記述で、日本の海賊行為の責任を朝鮮側に転嫁しようと画策している。 また、豊臣秀吉の朝鮮侵略についてもまともに記述しなかったばかりか、8〜9世紀の200年間にかけて日本に文化的影響を与えた渤海使臣の往来について言及せず、江戸幕府時代に200数10年間も日本に大きな文化的影響を与えた朝鮮通信使について正当な評価をしていないなど、ゆがんだ歴史観にもとづいて練り上げたこの教科書には再修正、再執筆すべき個所が数え切れないほどある。 この教科書ではまた、日本帝国主義の朝鮮侵略を正当化、合理化する方向で様々な事件や事実をはなはだしくねじ曲げている。 教科書では、「雲揚号」を朝鮮の沿海に侵入させて侵略的な不平等条約を強圧的に締結した日本帝国主義の悪らつな蛮行と策動を巧妙に庇護、隠ぺいする方向で記述し、「甲午農民戦争」の記述では農民蜂起軍が日本帝国主義を主な敵とみなして決起したことを意図的に覆い隠して日本の侵略的上陸問題をうやむやにして隠ぺいした。 とりわけ、朝鮮が軍事的に不安定であったため、日本が東アジアを安定させる政策の延長として仕方なく朝鮮を占領せざるをえなかったとし、朝鮮に対する侵略と占領を合理化し、美化粉飾している。 周知のように、日本帝国主義は朝鮮を武力で占領して40余年間も植民地軍事ファッショ統治を実施し、朝鮮人民に計り知れない不幸と苦痛を強要し、朝鮮民族のあらゆる財貨を略奪した。 |