花あかり人

アジアの平和築く女の力

清水澄子 政治家

95年阪神・淡路大震災時、清水澄子さんの働きかけにより日本政府から朝鮮学校への初めての補助金がでた(写真、文光善記者)

 1989年、参院選挙に当選して以来朝鮮問題をはじめ、年金、医療、介護、環境、女性問題などに積極的に取り組んできた清水澄子さん。近年では、94年JR定期券の朝鮮学校学生の割引適用、95年の阪神大震災時には東神戸初中(当時)、伊丹初中の校舎再建のため尽力。

 また「朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会」代表も務め南北朝鮮、在日の女性からあつい信頼が寄せられている。次回参院選挙に3度目の出馬をする。

  ●阪神大震災の際には朝鮮学校の復旧のためにご尽力下さいました。

 震災の様子をテレビで見ながら朝鮮学校のことが心配でならなかった。政府の災害復旧対策の対象からはずされていると思ったからだ。震災が起きて2週間後に東神戸初中に入った。先生方はガックリしていた。維持するに大変だったのに、建て直すのは到底無理だと考えたのだと思う。

 でも私はこういう時こそ声をあげるべきだと励ました。だって災害は人を選ばず無差別に襲ってくる。当然、災害対策の対象にするよう要求する権利がある。

 その後、村山総理(当時)にかけあって文部省から補助がでることになった。戦後初めてのことだ。

 何日か後にオモニたちとも会った。その落胆ぶりは生活を抱えている分さらに深刻だった。元気づけようと思い、文部省からお金がでることになったと伝えた。その時あるオモニを通じて、伊丹の学校では空港が近くにあるため防音装置が、必要だと言う事を知った。しかも24年間も行政に設置補償を要求し続けてきたが、何の反応もなかったと聞いた。

 本当に腹立たしかった。いくら朝鮮学校が「各種学校」扱いとはいえこれは別問題のはず。運輸省にかけあい、この問題も解決できた。

  ●99年9月、女性ばかりの訪朝団を送りましたね。

 当時日本国内は「北朝鮮脅威論」一色だった。それに便乗して周辺事態法などが通り、国家予算の防衛費は膨らむ一方。この雰囲気を打破するのは民間の力しかないと思い、女性67人の訪朝団を組んだ。本当に共和国が「恐ろしい国」なのか自らの目で確かめてみようと呼びかけた。そして訪朝団の名前を「日米新ガイドライン」反対の意志を込めて「ピースライン訪朝団」とした。

 帰国後メンバーらは、日本の各地で報告会を開き、見てきた共和国の真の姿を口コミで広めた。

  ●家庭と仕事の両立でご苦労があったと思います。

 私たちの世代は、「女は三界に家なし」という古い封建的な教育を受けた。自分のやりたい勉強もできず、しまいには結婚相手まで親が決めてしまった。それが嫌で20歳の時家出をした。

 45年に今の夫と結婚したのだが、家事、子育ての一切を分担して私を支えてくれた。息子が生まれた時、夫はオムツを毎朝干してくれた。近所の好奇な目が気になって、止めようとしたら夫に「子育てを2人でやることはあたりまえのことだよ」といさめられた。

 子供たちにも家にいてあげられなくて申し訳なく思っていたが、成人した息子がある日「お袋のような母親はなかなかいないよ。いつもすごいなって思っていたよ」と言ってくれた。そういう家族の支えが大きな励みになった。 聞き手・金香清記者

読み継がれる名著

「朝鮮火田(焼畑)民の歴史」、高秉雲著、雄山閣出版、4800円+税

 「韓国併合」時と朴正煕政権下の火田民政策の資料を丹念に解き、流浪を余儀なくされた人々の日々を追求。併せて朝鮮総督府時代の極秘資料を全文掲載。

「日本再生論―〈市場〉対〈政府〉を超えて」、金子勝著、日本放送出版協会、870円+税

 なぜ、日本は迷走するのか、金融システム不安、ITから財政赤字、そして、複雑な形で拡大する階層格差…。戦略なきグローバリズムの危うさを突き、新しいリスクの時代にふさわしい政策思考と、それを支える社会哲学を模索する、画期的な日本再生論である。

 「国連軍の犯罪―民衆・女性から見た朝鮮戦争」、編・解説 藤目ゆき、不二出版、3000円+税

 多くの日本人は朝鮮戦争に関する最も重大な情報であるはずの「朝鮮民衆の体験」を知らぬまま、国連軍―米軍の「正義」を疑わず、北朝鮮への不信感や敵意を抱き続けてきた。本書は冷戦の呪縛から人々の歴史認識を解き放ち、民衆・女性の視点からアジア駐留米軍の存在意味を問う。

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