歴史の散歩道

行基ゆかりの寺院を巡って

千葉県


 奈良時代の百済系氏族の子孫、河内国大鳥郡で生まれた行基菩薩(ぎょうきぼさつ、668〜749年)は、全国を行脚して橋や堤を築いたり寺院を造るなど、多くの業績を残した伝承があるが、8世紀初めに東国を巡遊する際、房総地方も訪れ、千葉寺のほか各地に寺院を開基した。

 千葉朝鮮歴史探訪「金鈴会」は、第6回例会として5月20日、千葉県に遺された行基ゆかりの寺院めぐりを千葉市在住の同胞愛好家と日本の学者ら20余人の参加のもとで行った。

 レンタカーで乗り合わせた一行が最初に訪れた千葉寺は、市内最古の由緒ある寺として知られている。伝承によれば、行基が池田郷の千葉(せんよう)の蓮華(極楽浄土)を眺めて霊感にうたれ、丈六の十一面観音を彫刻し、堂塔伽藍(がらん)を建立したという。かつては、海上山歓喜院千葉寺(せんようじ)と称したことから千葉という地名が由来したとみられている。なお境内の樹齢1000年を超えるイチョウは当時の植栽と推定され、往時の面影がしのばれる。

 つづいて一行は行基が約5.4メートルの聖観音像を彫刻して本尊にしたと伝えられる木更津市の高蔵寺(高倉観音)と、日本三塔寺のひとつに数えられた天台宗の名刹、行基の開山と伝えられる石堂寺(安房郡丸山町)を訪れた。

 巨木が生茂る境内でなごやかに昼食をとった一行は館山市内に向かった。

 今回の寺院巡りを終えた同胞一行は、百済系氏族の名僧、行基が千葉県において遺した数々の業績に対して深く感銘を受けた。このような歴史の由来を次世代にも伝えてゆく必要性を切実に感じた。
(千葉朝鮮歴史探訪「金鈴会」会長・宋潤奎)

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