日本の歴史わい曲許さない

アジアの市民団体、東京で連帯集会

南の性奴隷被害者は怒りで声を震わせていた(文部科学省前) 集会ではアジアの被害者たちが日本政府への怒りをぶつけていて

 アジア各国の被害者や市民団体が、日本の歴史わい曲に反対するために手をつないだ。10〜11日、東京で行われた「歴史わい曲教科書を許さない! アジア連帯緊急会議」(主催=「戦争と女性の暴力」日本ネットワーク、平和を実現するキリスト者ネット、子どもと教科書全国ネット21)では、史実をわい曲した歴史教科書を検定合格させた日本政府の責任を厳しく追及し、アジア共通の歴史認識を育てるための行動計画が討議、決定された。行動計画の内容は11日夕、東京・一ツ橋の日本教育会館で開かれた集会で発表された。

政府の責任追及/「つくる会」教科書採択阻止

ネットワーク作り共同行動

 行動計画によると、今後、アジア各国の市民団体はこの問題での新たな連帯組織として「歴史教育アジアネットワーク」(仮称)を立ち上げ、@日本政府の責任追及A「つくる会」教科書の採択阻止Bアジアの和解に寄与する歴史教育の確立――などの実現のため、アジア全域で活動を進めて行く。国際的な署名を行ったり、自国政府に日本政府への働きかけを要望していく。

 集会で、南朝鮮の市民団体「日本の教科書を正す国際キャンペーン」を代表して発言した梁官洙・高麗大学客員教授は、今後、世界の130ヵ所で抗議行動を実施する予定だと発表。「われわれは運動を世界に広げ、歴史わい曲の動きが完全になくなるまでたたかう」と宣言した。

 今回の緊急会議・集会は四月末、南朝鮮の性奴隷被害者と支援団体メンバーが日本で抗議行動をしたことがきっかけとなって開かれた。抗議行動に合流した日本の市民団体が、日本政府の意図的で計画的な歴史わい曲に対し、アジア各国が連帯して反対しようと被害各国の市民団体に呼びかけたのだ。

 昨年12月、東京で開かれた日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷に参加した朝鮮の「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従対委)代表団も、呼びかけを受け、会議に参加する予定だった。しかし、同代表団は日本政府に入国を拒否され、会議への参加を阻まれた。

 集会では、従対委が集会参加者に送った連帯メッセージが発表された。主催団体は、7日に首相、法相、外相あてに抗議文を送り、入国拒否撤回を求めていたが、この日の集会でも参加者一同による外相 
あての抗議文が発表された。

歴史の真実は隠せない

被害者の怒り頂点に

 集会では、アジア各国の侵略戦争被害者と、日本の識者、運動家らが発言した。東京に集まった各国の被害者らは、日本政府に対して心からの怒りをぶつけた。

 南朝鮮の性奴隷被害者、金順徳さん(81)は、11日の集会で17歳の時に日本軍にだまされ南京に連行された体験を話しながら、「犠牲者は今もたくさん生きているのに、教科書から『慰安婦』問題を消すとはどういうことか」と声を荒げた。

 また、フィリピンの性奴隷被害者バージニア・ビラニアさんは、「真実の歴史が記されていない教科書は決して受け入れられず、さらなる侮辱につながる。歴史は隠すことも変えることもできない。正義が果たされる日まで心は休まらない」と声を震わせた。

 基調報告をした高橋哲哉・東大助教授は、「つくる会」の教科書について「アジア諸国を卑下し、攻撃することで日本の歴史全体を美化し、日本人の誇りを取り戻そうとしている。その先には戦争しかあり得ない」と危機感を示した。

 社民党の福島瑞穂参院議員は、小泉純一郎首相の「靖国神社公式参拝」発言や国会における改憲の動きをつぶさに報告し、教科書における歴史わい曲も、日本の軍国主義化を進める一連の流れの中にあると指摘した。

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