6.15共同宣言から1年
新たな段階に至った北南関係
民族自主は統一の基本原則
昨年の9月2日、板門店から送還された63人の非転向長期囚たち
金正日総書記と金大中大統領の歴史的な出会いと6.15北南共同宣言の発表から1年が過ぎた。分断から55年を経てはじめて実現した北南首脳の出会いと、共同宣言の発表は民族史に特筆すべき歴史的事件であり、北と南、海外の同胞は歓喜の涙にほおをぬらし、明日への希望を胸に祖国統一事業によりいっそう打ち込むことができるようになった。北南共同宣言の発表は途切れた民族の血脈を再びつなぎ、冷戦と対決の風が吹きすさぶ朝鮮半島に和解と統一の風を運んできた。何よりも共同宣言の発表は朝鮮民族の自主統一の意志を内外に改めて知らしめた新しい時代の民族宣言である。
この1年間は6.15北南共同宣言の精神に則ってわが民族同士で力を合わせ、統一問題を自主的に解決していくという機運が高揚し、民族の尊厳と気概を示した1年であった。民族自主はこんにち北と南、海外すべての同胞共通の意志、志向となっており祖国統一の礎となっている。 また北南間の和解と団結を機に統一へと向かう民族の志向がより強固なものとなり、全民族的規模で統一運動が繰り広げられた1年でもあった。共同宣言発表を機に従来までは想像すらできなかった北南の当局、民間レベルでの対話と交流が実現し、政治、経済、言論、芸術、スポーツなど幅広い分野での協力が実現した。これらの交流はわが民族が決して離れて暮らすことはできず、力を合わせればできないことはないということも同時に示した。 この1年の間には、祖国統一事業を支持する世論が世界的に広がり国際連帯がいっそう強化された。北と南が互いに手を組み、民族の主体的な力で統一の門を開こうという取り組みに各国の進歩的な政党、団体はもちろん、制度と理念の違う国々までもが支持と共感を表明した。 北南共同宣言発表後、今日までの統一事業におけるこのような肯定的な状況変化と成果は、すべて金正日総書記の絶え間ない労苦のたまものであり、この間行われた対話や交流、出会いや往来もすべて総書記の卓越した指導の結実である。 このような成果とは裏腹に統一への道は決して順風満帆ではなかった。 朝鮮半島の和解と統一への動きを好ましく思わない米国と一部反統一勢力は、共同宣言の精神を反故にしその履行を妨げようとあらゆる策動を企図した。ブッシュ政権は「核問題」「ミサイル問題」などを口実に北に対する「強硬対応」をうんぬんしながら、「対北政策検討」や「検証」を主張し好転する北南の関係を後退させようとした。南では「共助」「安保」の名のもと、外勢との政治、軍事面での結託を強めており、同族を「主敵」とみなし大規模な合同軍事演習が繰り広げられている。また共同宣言を支持する統一愛国運動団体を「利敵」団体と規定し、弾圧の手を緩めずにいる。米国と一部反統一勢力がいつまでも冷戦と対決の古い思考にしがみつくのであれば、6.15共同宣言の履行もままならないことは言うまでもない。 朝鮮民族の念願と志向を反映した6.15共同宣言の履行に、外勢が口を出すことは決して許されることではない。また民族同士で力を合わせ自主的に統一問題を解決していくことを確約した今日に至っても、外勢の干渉に同調していてはならない。 民族統一大討論会、金剛山観光再開の合意、南のデザイナーによる平壌でのファッションショーなど、6.15一周年を前に北南の交流は新たな段階に至ろうとしている。 6.15共同宣言はわが民族の尊厳と自主の意志が込められた民族のたまものであり、これを守るためにも統一問題を自主的に解決するという立場をより確かなものにしなければならない。 活性化する民間レベルの対話、接触 言論分野を突破口に 「国の統一問題を、その主人であるわが民族同士で互いに力を合わせて自主的に解決(第1項)」していくことを明らかにした6.15共同宣言の発表は、北南の当局間ばかりでなく民間レベルでの対話を活発化させ、統一運動を全民族的範囲で飛躍的に発展させた。 6.15共同宣言発表から50日後、南の言論社代表団が平壌を訪問し北と南の言論人たちは民族の団結と統一を実現するのに有益な言論活動を行っていくことを確約した合同合意文を採択した。世論の代弁者でもある言論人の交流が示すように、この1年間民間レベルで行われた対話と交流は6.15共同宣言の民族史的な意義を確認し、共同宣言履行のための階層別、地域別の連帯を実現していく場となった。 従来であれば南の民間人が北側と接触しようとした場合、法的、制度的な障害をまず考慮する必要があった。しかし6.15共同宣言の合意事項に則って当局間の会談が行われている今となっては、民間レベルでの対話と接触を妨げる名分はない。共同宣言発表後、南ではそれまで交流を妨げてきた「国家保安法」の撤廃を求める声もよりいっそうの盛り上がりを見せている。 統一運動が従来にはない幅と深みを持って合法的に展開されることで、6.15共同宣言に明示されている「統一問題の主人」である7000万の同胞が統一という流れに合流できる大きな転換点となった。 当局者会談 共同宣言履行のための対話に 6.15共同宣言の合意事項に基づきこの1年間、高位級会談をはじめ各分野での当局者会談が行われ、各層の交流、往来が頻繁に行われるようになった。 これは従前の「和解局面」とは根本的に区別される北南関係の新たな局面である。たとえば民族共同の統一宣言の履行問題を協議解決する当局者会談は、単なる実務会談ではなく民族対話の様相を呈した。 4回にわたり行われた高位級会談では、切断された鉄道および道路の連結問題など、共同宣言の精神を具現するための一連の事業について協議し決定した。また経済協力や人道主義に基づいた事業など、北南の交流と協力をより円滑に推し進めるための対策について討議し、そのための機構(北南経済協力推進委員会)を設置したり、新たな対話の窓口(北南人民武力部長級会談など)も設けた。 当局間の対話と各階層の交流、接触、往来が有機的に絡み合ったとき、全民族的な範囲で統一の世論が盛り上がりを見せた。それがまた当局会談推進の大きな力ともなった。 現在当局間会談は中断されたままであるが、過去1年の現実は6.15共同宣言が表明した民族自主の精神に立脚しわが民族同士力を合わせれば、北南間の懸案事項も順調に解決できるということを実証している。 経済協力 制度的担保を保障 民族経済を均衡的に発展させるという共同宣言の合意事項(第四項)は北南経済協力の新たな地平線を開いた。この1年間で北南の経済人の間では、共存、共栄、共利を追求するうえで意義のある前進が見られた。 現代、三星をはじめとする南の企業は、北との経済協力を新たな段階で推進するため一連の協議を行った。特に注目すべきは北と南の当局が対話を通じて経済協力の制度的担保を作りあげたことだ。 6.15共同宣言発表前にも北南間の経済交流は幾度かあったものの、それは双方の当局間によって保障されたものではなかった。北と南は昨年、「投資保護」「2重課税防止」「商社紛争解決手続き」「清算決済」と関連した合意書作成のため2度にわたって実務協議を行い、年末にあった第四回北南高位級会談では一連の合意書が採択された。また北と南は次官級を団長とする経済協力推進委員会を設置し、電力協力問題をはじめとする当面の経済協力について協議した。 一部では南で不況が深刻化し民間企業が対北事業に難色を示しているという指摘もあるが、経済協力はある一方の利益だけを追求するというものではない。6.15共同宣言の精神に従って北と南が協力すれば、そろって繁栄する可能性は十分にある。また共同宣言が開いた北南関係の新たな局面は、そのための条件を着実に整備しつつある。 離散家族の相互訪問、非転向長期囚の送還 人道問題で大きな前進 歴史的な6.15共同宣言は人道主義問題の解決に大きな前進をもたらした。 昨年8月に実現した離散家族の相互訪問は、共同宣言の内容を実践したはじめての事業だった。これを機に北と南の間では3回にわたり相互訪問が行われ、のべ600人が平壌とソウルを行き来し数1000人が半世紀ぶりに肉親との再会を果たすことができた。 離散家族相互訪問の意義は彼らの心の傷をいやしただけでなく、北南の和解と団結に寄与し関係発展の促進剤として働いたというところにもあろう。北と南の間で離散家族の問題が話し合われてからすでに30年が経つ。その間まったく進展しなかったこの問題が大きく前進したのは、北南関係を分裂と対決から和解と団結へと転換させた共同宣言の生活力と言える。 これをよりはっきりと知らしめたのが非転向長期囚の送還だ。昨年9月に63人の非転向長期囚が送還されたことは、対決から和解へと向かう全民族の意志を具現したものと言っても過言ではない。 離散家族の生死、住所の確認、手紙の往来などは始まったが、面会所の設置などを経て最終的な解決までには課題も多い。いまだ南に残る非転向長期囚の送還も懸案のひとつだ。 すでに実践へと移されている人道問題は、それだけでは実現することはできず和解と団結、統一へと向かう過程でのみ解決できる。 非武装地帯に北南共同管理地区 民族のきずな結ぶ鉄道と道路 新義州―ソウル間の鉄道と開城―★(サンズイに文)山間の道路を連結するのは、民族分断史上初めて、祖国の地を横切る軍事境界線を貫き、断たれた民族の血脈をつなげる意義の大きい事業だ。 昨年9月、済州道にて開かれた北南人民武力部長級(国防相級)会談で、6.15共同宣言の履行を軍事的に保障することに関する問題が討議された後、実務会談で、鉄道と道路が通る区域を北南共同管理区域にし、工事を保障するための諸問題に関し基本的合意がなされた状態である。 しかし現状では、まだ着工できないでいる。 この事業は米軍が管轄する軍事境界線を貫く事業であるため、朝米間の緊張の影響を直に受けざるを得ない。北南関係が朝米関係と密接に関連している事実を示す題目だ。 事実、軍事境界線の一部区域を北南共同管理区域に設定するのに関する問題は、昨年11月17日、北南ではなく朝米間でその合意がなされた。南側が9月の会談合意を米国に認定させる事ができず、結局、北側が直に米軍と合意したのだ。 軍事地域を貫かねばならないだけに、この事業は和解談合の見地から北南が力を合わせねばならない。しかし南の軍事当局は、米軍に追随して北を「主敵」と規定している。 ブッシュ政権の強硬策緩和と同時に、南の軍事当局が民族的立場に立ってこそこの事業は推進力を得る事ができるのだ。 |