5回KO、王座防衛
WBC世界スーパーフライ級チャンピオン洪昌守
統一への願いアピール
勝利し、統一への願いをアピールするチャンス | 終始、同胞愛あふれる声援を送った応援団 |
「四角いリング上に停戦ラインはなかった」―。5月20日、朝鮮民主主義人民共和国人民体育人で、在日朝鮮人プロボクサー初のWBC世界スーパーフライ級チャンピオン洪昌守(ホン・チャンス・26、金沢ジム=東京朝高ボクシング部OB)がソウル市内のホテルで、゙仁柱(同級第2位、32)との2度目の防衛戦を行い見事、勝利した。1400人の観衆で埋め尽くされた会場では、北南分断史上初めて在日同胞と南の同胞たちが「われらの願い」を歌い、ありったけの力を出して闘った両選手をたたえた。また2、3世同胞らが中心となって構成された229人の総聯同胞応援団(団長=在日本朝鮮人体育連合会・鄭智海副会長)は終始、洪昌守に力と勇気を与えた。
◇ ◇ 5ラウンド、左をよけだの顔面に、洪昌守がワンツーの右を見舞う。ボクシングの基本ともいえる強烈な一撃に、゙は仰向けに倒れ、ピクリとも動かなかった。勝利した瞬間、応援団の2、3世の同胞らは、白地に朝鮮半島を青くそめぬいた「統一旗」をなびかせながら、「よくやったホン・チャンス!」「いいぞホン・チャンス!」を連呼しながら、場内を揺るがすほどの熱い声援を送った。 また、目頭を熱くしながら「ウリドゥルン ハナダ(わたしたちは一つだ)」を声高く叫び、統一への願いをアピールした洪昌守に、ソウル市民たちは同胞愛あふれる声援を送った。 試合後、控え室で「やっぱりチャンピオンベルトが一番にあう」と、日本の記者たちの前で誇らしげに語る洪昌守。そして、「勝利できたのは、在日同胞の応援があったからだ。入場した瞬間、同胞たちの熱い声援に力が沸いた。本当に感動した」と強調した。 ◇ ◇ 応援団の主催でソウル市内の料理店「大林亭」で行われた祝勝会にチャンピオンベルトを手にした洪昌守が家族と共に現れると、店内にはまたもや「ホン・チャンス」コールが響き渡った。興奮と熱気が充満した店内で同胞たちが「ホン・チャンスに乾杯!」と祝杯を上げる。 鄭智海団長は「在日同胞の期待どおり洪昌守は見事、勝利した。朝鮮の海外体育人としての栄誉、民族教育の正当性を内外に大きく誇示した洪昌守はわれわれのヒーローだ」と述べた。 総聯中央常任委員会をはじめ各組織、団体、学校、在日同胞から送られた多くの祝電が紹介される中、洪昌守は 「これからも連戦連勝し、新しい世代に夢を与えたい」と抱負を語った。 ◇ ◇ その力強い姿を見た李昌允さん(25、自営業)は「同じ東京朝高ボクシング部のOBとして誇らしく思う」と述べ、洪昌守にボクシングを教えた同校の李成樹教員は「海外でも防衛できる、強いチャンプであることを証明できたと思う。本当に立派だった」と語った。 洪昌守の家族、親せきが多く住む総聯東京都大田支部管下の同胞たちと、洪昌守と共に朝青活動をしている大阪・東成支部の朝青員たちが喜びを分かち合っていた。 試合とその後の取材攻めで、疲労は極度に達していたにもかかわらず、笑顔で同胞たちの握手、サインの求めに応じる洪昌守。その息子の姿を見ながら、オモニ、権敏子さん(57)は「ソウルと釜山から応援に来てくれた40余人の親せきは、王者の貫録を余すところなく見せたチャンスと、総聯の団結した応援に感動したと言っていた。その言葉を聞いて、総聯の応援なくしてチャンスの勝利はなかった、ということを実感した。応援団のみなさんに心からお礼を申し上げたい」と語った。 ◇ ◇ 洪昌守の闘いぶりと応援団の覇気と活力に満ちあふれた声援は、ソウル訪問の窓口になった関係者たちに反響を呼び起こした。 招請側の社団法人「韓国拳闘委員会」の李世春事務総長は「体力、技術、スピードのあらゆる面で洪昌守が優れていた。やっぱりチャンピオンは違う」と指摘した後、「分断史上、初めてソウルの地で在日と南の同胞が自分たちの選手を応援した。また、勝利し、統一への願いをアピールした洪昌守に声援を送った南の同胞たちの姿を見て、四角いリング上には停戦ラインはなかった」と語った。 また、応援団一行を案内した世一旅行社の黄明淑さんは「総聯の団結力とともに民族の魂を失わず、終始、ウリマルで会話していた同胞たちを誇らしく思った。本当に民族教育の素晴らしさを実感した」と驚きを禁じ得ないでいた。(金英哲記者) |