「飽食の時代」

増える栄養不足の若者


 食生活が豊かになり、いつでも好きなものが食べられる時代。そのせいか、かえって栄養バランスを崩し、栄養不足に陥っている人が増えているという。

 どの年齢層でもカルシウム不足の傾向が続くが、とくに若い層で目立っている。若い女性には鉄不足の人も大勢いる。これには「飽食の時代」の若い人たちの食事の乱れや偏りが原因しているものと考えられる。

多い朝食抜く人

 20歳代では、男性の3人に1人、女性の6人に1人が朝食を抜いているとされる。

 しかも、朝食を抜く人は夕食時刻も不規則になるなど、1日を通して食生活のリズムが乱れてしまいがちだ。「夕食に塩分の多い食品・料理を摂ることが多い」「揚げものを食べることが多い」「野菜をあまり食べない」「食事で主食(ご飯、パン、めん類)を摂らないことがある」という人が多い。

 10代後半から20歳代の人たちでは脂肪エネルギー比率は29%で、適正比率(25%)をはるかに超えて増え続けている。若い頃からの脂肪多食は、将来の生活習慣病の遠因にもなり得る。

 大学生を対象にしたある調査では、「バランスの良い食事を心がけている」と答えたのはわずかに1割。野菜も不足がちで、淡色野菜は40%、緑黄色野菜は20%台の人しか十分食べていないという。海藻類を食べている人も20%台、牛乳・乳製品は40〜50%台、卵は40%台、大豆製品と魚介類は40%台、肉類・肉加工品は80%台だった。

 これらの食品はビタミン、ミネラルなど微量栄養素の大切な供給源になっており、栄養摂取の偏りが心配されている。

偏食に注意を

 大学生や若いサラリーマン、OLなどには自炊をしている人も少なくなく、食事や栄養の管理を自分で行わなければならない。

 しかし、最近の若者はどうしても外食やファストフード、コンビニ弁当などに頼りがち。

 食堂メニューを選択する際にも、めん類、どんぶり物、カレーライスなどの単品物を注文する傾向が強くなっており、こういう食事を続けると、低栄養状態を招くことが十分考えられる。

 また、若い時に無理なダイエットをすると、5年ほどで骨密度が低下、ホルモン分泌異常を来し、中高年になって骨粗しょう症になりやすくなるという研究結果も報告されている。(「くらしの豆知識2000」参照)

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