春・夏・秋・冬

 「戦没者に慰霊の気持ちでお参りさせてもらう。それは世界共通のことじゃないか」(小泉首相)、「靖国神社の参拝は純粋な戦没者慰霊」(山崎幹事長)

▼知り合いの記者は「10年一昔とはいうが、かつてならこんな不謹慎な、政治家の資質を問われるような発言が政府のトップから飛び出すことはとうてい考えられなかった。まずは周囲が止めただろう」と呆れる。社民党などは、さっそく追及の狼煙(のろし)を上げたものの多勢に無勢。日本社会の変質、右翼化しつつある現状を思い知らされる

▼1869年に建てられた靖国神社には、侵略戦争を指導したA級戦犯を始め、結果的に多くのアジア民衆に銃を向け虐殺した軍人たち250万人余りが合祀(ごうし)されている。それ以前に「天皇」=「大日本帝国」のために人々を侵略戦争に駆り立てる精神的支柱として決定的な役割を果たした

▼戦犯として裁ける対象ではないが、その罪の大きさにはA級戦犯以上のものがある。周知のように侵略戦争の敗戦から56年、日本政府は朝鮮に対して今なお、その過去を謝罪することなく補償すらしていない。65年に「韓日条約」を締結したが、そこにも一言半句もない。結局、何も反省していない

▼「自民党の30%は2世議員。なかには新内閣の官房など要職についた者たちもいる。その親たちの多くは侵略戦争に関わり、戦争そのものを正しかったと思っている。親から子にこうした侵略歴史観が伝えられ、それが靖国神社参拝発言が容認される根底にある」とは前出記者のタネあかしだ。(彦)

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