世界の自主、多極化後押し
EU代表団の訪朝、新たな関係発展へ
【平壌発=金志永記者】EU最高位級代表団の訪朝に対する朝鮮側の関心は高かった。外務省の関係者たちは、「わが国の外交史で特記すべき重大事」だとその意義を強調した。
近年、EU加盟諸国の対朝鮮政策に大きな変化が表れ、両者の関係は新たな発展の局面に入った。 スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オーストリア、ポルトガルは以前から朝鮮と国交を結んでいたが、その他の国は朝鮮の政治体制を理由に関係改善に消極的だった。しかし昨年1月にイタリアが、12月にはイギリスが朝鮮と国交を樹立した。 今年1月にはEUの立法機関である欧州議会が朝鮮の自主的統一のプロセスに寄与し、朝鮮と公式な外交関係を結ぶようEUに求める決議を採択。その後数ヵ月の間に、オランダ、ベルギー、スペイン、ドイツ、ルクセンブルク、ギリシャが相次いで朝鮮と国交を樹立した。 今回のEU最高位級代表団の訪朝は、こうした関係改善の動きをさらに高い段階へ押し上げる契機となった。団長を務めたEU理事会のペーション議長(スウェーデン首相)は平壌滞在中、金正日総書記との会談を「歴史的な会談」と高く評価した。 EUは、米による世界の一極化に反対して多極化を主張しながら自らがその「一つの極」としての地位を確立するためEU統合のプロセスを急いでおり、国際社会で独自の影響力を持つために腐心している。最高位級代表団の訪朝とその直後のソウル訪問は、世界の再編プロセスを念頭に置いたEUの新世紀戦略に沿ったものだ。 自主性を何よりも重んじその立場からすべての政策を実施している朝鮮と、独自性を強く打ち出すEUとは通じる部分がある。 EU最高位級代表団が6.15共同宣言を積極的に支持する立場を表明したのは、そうした共通性を表す一つの例だ。北南首脳会談と共同宣言は、EU加盟諸国が自国の対朝鮮政策を転換する一つの契機となった。最高位級代表団訪朝の主な目的も、EUが朝鮮の統一に寄与する方途を模索することにあった。 独自の見解で共同宣言を評価し、朝鮮の統一プロセスで肯定的な影響力を行使しようとするEUの外交は、対朝鮮強硬策を取って北南朝鮮の和解と統一に障害をもたらしている米のブッシュ新政権と対照的だ。 先日、パウエル米国務長官は欧州各国の外交当局者と会談した後、朝鮮は依然として米の同盟国にとって「深刻な脅威」となっていると指摘し、朝鮮との国交樹立は望ましくないと述べた。国際関係が多角的に発展している時代の流れに背を向ける米国の独善的な言動は、「同盟国」の間でも説得力を失いつつある。 米の冷戦時代的な対決政策が内外の非難を呼び起こしている中で行われたEU最高位級代表団の訪朝は、新世紀の国際関係発展の方向性を示すものとして深い意味を持つ。 朝鮮とEUの関係発展は、世界の多極化と自主化のすう勢を推進していく一つの原動力となり、外部勢力の支配と干渉に終止符を打つ朝鮮の自主統一は、新世紀国際関係再編の中心問題の一つとして浮上している。 6.15共同宣言の合意に従い2回目の北南首脳会談も行われるだろう、ミサイル発射実験の凍結は2003年まで維持されるだろう――EU代表団を通じて世界に伝えられた総書記のメッセージは、「北朝鮮の脅威」を口実に国家ミサイル防衛システム(NMD)を強行するなど世界の一極化を進める米国に大きな打撃を与えたはずだ。 新世紀、国際関係が急速に変化している中、自主の旗印を掲げる朝鮮の存在感と発言力は増しつつある。 |