新世紀へ−民族教育を歩く
内と外
朝鮮学校を舞台にした国際交流の中でも、ひときわユニークな交流がある。北海道初中高で97年から開かれている日朝交換授業研究会だ。
札教組主催の同会、交換するのは「先生」だ。詳しくは日本の教師たちがウリハッキョの教壇に立って授業をする。朝鮮の伝統的な定型詩であるシジョ(時調)を日本語で作ってみたり、逆に朝鮮語で短歌を作ったりと、わくわくするような授業が度々行われてきた。 時には担当したクラスの卒業謝恩会にまで参加する熱心さを見せ、中体連の試合などあると、いつも朝鮮学校側の応援に回る。そんな日本の教師たちは「朝鮮語がわからなければ良い授業ができない」と、1回目の研究会の2ヵ月後には「朝鮮語講座」まで開設した。月2回の講座は、今も続けられている。講師はもちろんウリハッキョの教員だ。 その昔、日本政府とGHQによって閉鎖に追い込まれた朝鮮学校では、一時、日本人教師が授業を行っていたことがある。同化教育の強制だった。私たちはその歴史を決して忘れない。しかし北海道での試みは、苦難の歴史を乗り越える、新たな1歩なのだという思いにとらわれる。 「本音でつきあえるんだ」 双方の先生方の口から、そんな言葉を何度も聞いた。互いの「内」に相手を受け入れられるこんにちの信頼関係は「1世の時代から積み上げられたものだ」と崔寅泰校長は言う。 私たちの内と外。自らを守る垣根を越え、「外」と手をつなぐことで、内側はより豊かになる。(姜和石記者) |