春・夏・秋・冬 |
東京の赤坂界隈で、「トクポッキ」「プデチゲ」なるものが流行っているそうな。トクとは餅のことで、ポッキとは煮る、炒めるという意味。チゲは鍋で、プデとは、部隊を指す
▼朝鮮料理店を営む在日の友人と、ソウルから来た友人の3人で朝鮮料理を食べていてその話が出た。ソウルの友人は、赤坂界隈の「トクポッキ」は、本場の味とは違うことをしきりに強調した。で、彼の家で試食することになった ▼平たい鍋に、5〜6センチほどの長さに切った直径1センチほどのトクとキャベツなどの野菜と、驚いたことにインスタントラーメンが入っていた。コチュジャン(唐辛子味噌)のダシにインスタントラーメンの化学調味料っぽい味とが妙にからんで、なるほど初めて体験する食感だった。プデチゲは、トクの代わりにハムやソーセージを入れるという。いずれもインスタントラーメンがかなめとなっている ▼兵役の経験があるソウルの友人は、プデチゲが軍隊で食べられていたものだと教えてくれた。食べられそうなものを鍋にぶち込んで、それで最後にインスタントラーメンを入れたのが始まりだ、と ▼ところが、ソウルに長く留学していた日本の友人が、それに異を唱えた。米軍のPX(基地内売店)物資が横流しされて、そのハムやソーセージで作ったのが始まりで、だから、梨泰院などの米軍基地周辺が本場の味と主張する ▼でも、どちらだろうが、要はうまければ良いわけで、自分の舌に合った食文化を作り上げる、まさにここに、朝鮮民族のしたたかさがあることを改めて感じさせられた。(元) |