マグロ、たこ、ひらめなど 活きの良いネタに驚く
回転ずし「廻鮮・鮨丸」
田正守さん(福島県会津若松市)
従業員の丁寧な接客、笑顔で店内は常に活気づいている |
夕時には家族連れやカップルなどでにぎわう |
23年の「顔」で全国の漁港から直送
すしがレーンを回り始めて30数年。かつて、庶民にとって高嶺の花でなかなか手の届かないものだったが、そこで、少しでも安く安心して食べてもらおうと考え出されたのが回転ずしだ。最近では、同業者間の競争が激しくなり、内容もグレードアップしている。福島県会津若松市にある「廻鮮・鮨丸(かいせん・すしまる)」は昨年11月、市内6番目の回転ずし店としてオープンした。オーナーは、23年前から市内の各地で持ち帰りすし店を開いている田正守さん(51、総聯福島・会津支部非専従副委員長)。活きの良いネタが売り物とあって、その新鮮さには客の誰もが驚くという。 マグロは元卸から この市場、海に接していないため、昔から新鮮な魚を集めることに努力を重ねてきた。そのためマグロも、冷凍ではなく八割以上が「生」。冷凍の場合、解凍する際に、水分とともに身のうまみが一緒に抜けてしまう。そのため少しでもおいしいものを提供できるようにと、「生」のマグロにこだわっているのだ。 また新鮮なネタは、オーナー自ら市場に足を運んでは旬の情報を聞き出し、全国の漁港から仕入れている。とくに、年間150種類もの魚が水揚げされる富山県氷見港からは、歯ごたえのある1匹2センチほどの白えび(軍艦巻で1カン25匹入り、二カンで330円)、地ばい貝(にぎりで二カン330円)、宮城県気仙沼からは、黒潮に乗って三陸沖を北上し、北の海でたらふくえさを食べて戻ってくる産地のカツオなどを仕入れている。「港直送の新鮮なネタが、他店との決定的なうまさの差になっている」(田さん)。ほかにも生きたひらめ、たこなども入る。また、すしに定義はないと、なめこの軍艦なども出す。 「すしは日本人の定番、もっとも好まれている食べ物。だからおいしいもの、新鮮なものを提供していけば必ずうまくいく」。 以来、軌道に乗り店舗を拡大してきた。しかし、やはり客の反応は直接、自分の目で確かめてみたいもの。「鮨丸」のオープンは念願だった。 オーナー自らすしをにぎり、接客に応じる。「今日は気仙沼からおしいしカツオが入ったよ」「お好みのものがあれば遠慮なくおっしゃってください」――自信のネタを提供し、客との会話も進む。そしてその場で、客の反応を知ることもできる。従来の回転ずしのイメージを一新させたと言える。 初志の尊さがすべて 観光の名所、飯盛山から会津若松駅に向かって車で1分。「富山県氷見漁港直送白えび」「廻鮮・鮨丸」の大きな看板が目印だ。約70人を収容できる。すしネタは全60数種類。すしのメニューは百数にのぼる。価格は80円から500円まで。 事務所の壁には「夢を抱いたときの情熱を、最後まで持ち続けろ」と書かれた色紙が張られてあった。初志が、商売のすべてであることを知っている田さんの一筆だ。「店を盛り立てるのと同じように、会津の同胞社会も盛り立てていきたい」と意気込む田さんだった。(羅基哲記者) 営業時間 午前11時30分〜午後10時(年中無休)。駐車場完備。会津若松市一箕町八角字中村52―1(TEL 0242・33・6000) |