岡山、神奈川で「飲食業者協議会」発足の動き

同胞経営者のネットワーク

情報交換、コンサルティング「朝鮮の食文化」発展めざす


 長引く不況で庶民の財布のヒモが固くなっていることから、外食産業は厳しい経営を強いられている。焼肉店経営が多い同胞飲食業者もまたしかりだ。そんな中、最近、同胞飲食業者の間で、地域の朝鮮商工会のバックアップのもと、地域密着型の協議会組織を設ける動きが見られる。互いに接する機会が少ない同胞業者間のネットワーク作り、情報交換の場として機能するほか、コンサルティングや勉強会などを通じた経営サポートの場としても、同胞業者の期待は大きい。4月に同胞焼肉業者の協議会が発足した岡山と、近く飲食業者協議会を立ち上げる神奈川を紹介する。

岡山焼肉協議会/「地元名物」アピール

 岡山県では初の、地域の同胞焼肉業者による協議団体、岡山焼肉協議会が、4月23日に発足した。

 同協議会は、厳しい経営環境に直面する地域の同胞焼肉業者に対する経営支援と、業界のレベルアップ、「朝鮮民族の食文化」としての焼肉料理の発展を目指すことをうたっている。

 2年前から、県商工会を中心に発足準備が進められてきたが、この日、岡山県商工会(岡山市)で開かれた結成準備会で、同胞業者代表16人をはじめ48人の参加者全員が趣旨に賛同、発足に至った。

 会合では、在日本朝鮮人商工連合会の李宗和・商工部指導員が「朝鮮料理(焼肉)業界の現状と課題」と題して講演。情報収集・交換のネットワーク作りの場としての協議会の存在は不可欠だと述べ、「同胞焼肉業者は、朝鮮人としての強みは何かを考えるなど、店の哲学、主張を持ち、経営ノウハウを同時に学ぶべき」と指摘した。

 また、ディスカッションでは、低価格店がチェーン展開して勢いを増している現状について意見が続出。「焼肉は民族の伝統に根差して同胞が発展させた食文化であることを、積極的にアピールすべき」(岡山市の李康浩氏)、「地域の同胞業者が共通して打ち出せる、『岡山名物』のようなものを作って知名度を上げる取り組みをしてほしい」(倉敷市の金善雄氏)など、協議会への意見も多く寄せられた。

 初代会長に就任した辛善洙氏(県商工会副会長)は、「何よりも同胞業者の経営発展を第一に掲げ、参加した人に何らかのメリットを与えたい。同胞の要望と意見を生かした活動を展開したい」と抱負を語った。

 同協議会では今後、会合の定期的開催、各種セミナーや研修旅行、民族の食文化をテーマにした各種イベントの企画、PR活動の展開などを行っていく。また、同胞業者への経営コンサルティングとコンサルタントのあっせん、情報技術(IT)を利用した情報発信を促進する研究活動など、経営支援活動も展開する。

 協議会ではまず、同胞業者へのアンケート調査を行い、地域の現状を把握したいとしている。【岡山県商工会】

神奈川・協議会準備委/互いに刺激与える場に

 神奈川県商工会では4月11日、同胞飲食業者の協議会の発足に向けた準備委員会を、県商工会(横浜市)で開いた。会合には同胞業者6人と関係者が参加し、協議会の活動内容などについて意見を交わした。

 県商工会では、昨年11月から今年3月にかけて、県下の同胞焼肉店80店を対象にアンケート調査を行ったが、売り上げの減少を指摘する店が五割を超え、好調店は1割にとどまるなど、厳しい業況が浮き彫りになった。

 こうした現状から、県下の朝鮮料理業者が厳しい競争を勝ち抜けるよう、経営支援を強化することを目的に、焼肉をはじめ同胞飲食業者を対象にした協議会の発足が検討されてきた。

 会合では、「従業員教育の成功例を聞くなど、実際の経営に生かせる勉強や意見交換をしたい」「同胞業者同士が互いに情報を交換し、刺激を与え、皆がスペシャリストになれるよう、会を運営していきたい」「インターネットのホームページや iモード の活用なども念頭に置ければ」など、活発な意見が寄せられた。

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