第57回国連人権委員会

責任者処罰を再度確認

相ついだ日本への批判

歴史教科書歪曲にも言及/北南朝鮮中国など責任逃れを指摘


 朝鮮人強制連行真相調査団および日本のNGOによると、4月27日、6週間の日程を終え、閉幕した第57回国連人権委員会で、戦争犯罪と人権侵害行為の責任を究明する装置を整え、従軍慰安婦問題など、「女性への暴力」と関連した事例は必ず起訴し、法の審判を受けるべきだとする内容の勧告を含むクマラスワミ国連人権委特別報告官の報告書を支持する「女性の暴力撤廃に関する決議案」を4月24日、満場一致で採択された。

 決議案は、各国政府に対し、あらゆる種類の「女性への暴力」の防止と捜査、さらに国家であれ個人、武装勢力によるものであれ女性への暴力行為に対する国内法による処罰並びに適切かつ有効な措置、そして被害者への正しく有効な治療並びに医療を含む特別な援護の提供に責務を負うことを強調。さらに、「刑事、民事、労働、行政的制裁を法的に制定あるいは必要に応じて強化」し、「国際人権組織・人権法に合致するよう保障」することを求めた。

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 今回の決議案は、すべての国連加盟国が人種虐殺、反人道的犯罪と戦争犯罪責任者に対する免責を許してはならず、責任者処罰をする義務があるということを再度確認したことになる。さらに、「女性への暴力」に関する議題は58回においても重要な議題として継続して討議していくべき問題であるということが強調された。

 だが日本は、今回の決議案の文案を協議する過程で日本に対する批判を「主観的な判断を内包している」という論理を持ち出して、削除を要求したが、北南朝鮮代表と、代表提案国のカナダなどの強力な反対によって達成できなかった。

 クマラスワミ報告官は、報告書の中で「過去の強姦と女性に対する暴力を行った者に対しては、人権委会員国が調査と起訴、処罰できるようにすべきだ」と指摘した。

 日本への批判は要するに、「日本政府は、1996年に特別報告官の勧告と、去る国連人権小委員会で採択された最終報告書の勧告を履行しようとする努力をまったくしていない」「日本政府は道義的責任を是認しながらも法的もしくは犠牲者に対する補償責任を回避している」というものだ。

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 人権委では、決議採択に先立ち、日本の歴史教科書問題をめぐって議題13の「子どもの権利の保護」で応酬が繰り広げられた。

 朝鮮代表は、「新しい世代が、良好な精神的発達のために、正しい教育を通じて過去から学ぶことができる保証をすることが重要だ。最近、日本政府は、強い抗議と非難を受けたにもかかわらず、朝鮮人に対するものを含む人道に対する罪をねじ曲げ、あいまいにした歴史教科書を是認した。日本政府の意図的で狡猾(こうかつ)な歴史のわい曲は、朝鮮人やその他の被害を受けた諸国の被害者への耐え難い恥辱と侮蔑であり、強く非難し、拒否する。日本の教科書は国際共同体への詐欺に等しい」と、強く批判した。

 これについて、日本政府は「子どもの権利条約の諸原則をしっかり守っている。日本には教科書をチェックする教科書審議会がある。子どもたちは、第2次大戦は破壊的だった(ひどいものだった)という日本の教科書を与えられている。過去の戦争における行為についての日本政府の見解は、95年の総理大臣談話であり、日本が多くの諸国、特にアジア諸国の人民に苦痛を与えたことを述べ、自責の念を表明している。それは日本政府の公式見解である」と発言した。

 南朝鮮の代表は、「子どもの権利条約29条に規定されているように、若い世代に人権尊重を教えることが重要である。この点で、韓国政府は、『政府はどのような歴史教科書が学校で用いられるかを決定する立場にない』という日本政府の説明に懸念を有する。いずれの国家も、子どもが真実の教育へのアクセスができるよう保証しなければならず、国家は歴史のわい曲を続けることを許してはならない」と指摘した。

 その後、朝鮮政府が反論権を行使し「日本が人権蹂りんと戦争犯罪を犯したことはよく知られており、十分証拠がある。日本は、20万人の女性を日本軍兵士の性奴隷にしたし、100万人の朝鮮人を殺したのに、謝罪もなされていないし、犯罪を認めていないし、被害者への賠償も行われていない。なぜ特別報告者(クマラスワミ報告官)が、賠償については何もなされていないと指摘しているのか、なぜ被害者が今なお賠償を求めているのか、なぜこの問題が国際的な場で繰り返し浮上しているのか、それは 日本が過去の犯罪の歴史をわい曲し続けているからである」と述べた。

 朝鮮政府に続いて、中国政府は「日本政府代表の先ほどの発言を拒否する。過去の歴史についての日本による正しい理解は、日本社会だけではなく、アジアと世界にも関係する。日本がこの点で責任逃れしようとしているのは非常に残念である」と指摘した。

 今回の戦争犯罪に対する決議採択は、北南朝鮮と中国が侵略戦争を美化した日本の歴史教科書のわい曲について強く抗議したことに対する国際世論の支持表明であり、日本の過去の清算への関心の高さを示すものだ。

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