祖国の歌、歌い継ぐ

同胞声楽家 金黄英さん独唱会−東京


高齢を感じさせない豊かな声量で観客を魅了した金さん


「われらの願い」は賛助出演者、観客との大合唱になった


 金剛山歌劇団の歌手や東京朝鮮歌舞団の団長などを歴任した同胞文芸活動家、金黄英さん(総聯東京・目黒支部顧問)の独唱会が4月24日、東京・渋谷のホール「久遠」で開かれ、都内の同胞120余人が観覧した。

 金さんは1931年1月、済州島生まれ。3歳の時に日本に渡り、祖国解放を迎えた。異国の地で祖国の歌を歌い継ぐことの大切さ、歌う楽しさに目覚め、東京中高高級部を第1期生として卒業後、東京声楽専門音楽学校で声楽を専門的に学んだ。

 愛知中高や愛知第2、東京第5、東京第9など各地の朝鮮学校で音楽教師を務めた後、59年から在日朝鮮中央芸術団(現・金剛山歌劇団)の歌手、65年から約6年間、東京朝鮮歌舞団の初代団長兼歌手を歴任。朝鮮の大衆歌謡の普及と同胞音楽文化の発展に努めてきた。

 金さん自身、歌劇団・歌舞団の舞台や同胞のイベントで独唱を披露してきたが、独唱会は今回が初めてだという。

 今年70歳の誕生日を迎えた金さんを慰労し、朝鮮歌謡を多くの同胞の前で披露してほしいと、目黒、新宿、中杉の都内3支部の同胞商工人9人が発起人となって企画した。

 独唱会では「ネナラ(わが国)」「思郷歌」「故郷の春」など、祖国の山河、故郷の風景の懐かしさを歌う楽曲を中心に、14曲を豊かな声量で披露。朝鮮民謡「豊年歌」「ソバンウルソリ」では、観客の同胞が踊り出す一幕もあった。

 この日は多くの賛助出演者も駆けつけた。フィナーレは、祖国統一を願い、賛助出演者らとともに「われらの願い」の合唱で締めくくった。

 観覧した発起人の1人、崔世鎮・目黒商工会理事長は「祖国への懐かしさ、温かい気持ちで胸が一杯になった。祖国の歌と共に生きてきた金さんの姿と、在日朝鮮人運動の苦難の歴史が重なった」と感想を語った。

 公演後、金さんは「70過ぎの一同胞の舞台を、これほど多くの同胞が聞きに来てくれて感無量だ。1曲1曲にそれぞれ思い出があり、すべてが私にとって最高の歌です」と感慨深げに語った。

 また、「祖国の統一はすべての同胞の願い。統一してこそ、朝鮮民族の素晴らしい芸術文化を世界に誇れる」と述べ、「同胞の皆さんが願うなら、私はいつまでも希望の歌、統一の歌を歌いたい。統一のその日をこの目で見たいです」と語った。

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