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労働新聞19日付論文の内容は

米新政権を包括的に分析/冷戦式思考改めるよう警告


  19日付の労働新聞が、「冷戦式思考や行動方式では得られるものはない」と題する長文の論文を掲載した。いままでの労働新聞の論評などとは、趣を異にしているが。

   今回の論文の特徴は、内容が包括的だということだろう。ブッシュ米新政権に対して全面的な分析を加えた上で、その冷戦志向的本質を論破している。これまでの論評などが、ブッシュ政権に対する部分的非難だったとすると、今回の論文はブッシュ政権全体に対する朝鮮側の評価だとも言える。

  どのような内容で構成されているのか。

  大きく分けると@ブッシュ政権の本質A「北朝鮮脅威論」を吹聴する目的B朝鮮の立場の3つで構成されている。

  ブッシュ政権の本質については、どのように見ているのか。

  一言で言うと、冷戦志向。その根拠としてブッシュ政権の質的構成と対外政策構想を挙げている。

 大統領就任演説でブッシュが、「自由の敵、米国の敵は誤算してはならない。今後もわれわれは、世界に関与していく」と述べたことに対して論文は、ブッシュの言う「自由」とは米国式の「自由」。他方の自由を抑圧する超大国の専横であり、その敵とは米国の専横に立ち向かって自主権を守護する国々だ、と指摘している。

  ブッシュ政権の質的構成については。

  副大統領のチェイニー、国務長官のパウエル、国防長官のラムズフェルド、大統領安保担当補佐官のライスら全員が、かつて反ソ・反共冷戦戦略を作成し、実行していた強硬タカ派で、この強硬勢力によって、ブッシュ政権の冷戦的な対外政策が展開されている、と述べている。

  米新政権が「北朝鮮脅威論」を吹聴する目的については。

  歴史的に深刻な政治的・経済的理由がある、と分析している。

 まず、政治的理由だが、ブッシュ元大統領の敗北を挙げている。

 旧ソ連と東ヨーロッパ諸国の挫折を冷戦における自分たちの「勝利」だと過信し、米国中心の「新世界秩序」論を持ち出したが、結局、92年の大統領選挙で敗北するという恥辱を味わうことになった。それで、その「恨み」を晴らすためにクリントン政権の外交安保政策、対朝鮮政策を一つひとつ非難しているのだと指摘している。

 もう1つは、北南共同宣言の発表によって、朝鮮半島における米国の覇権的地位が脅かされかねないということ。

 朝鮮半島における肯定的な事態の発展が、朝鮮と疎遠な関係にあった西欧諸国との外交樹立へと発展した。こうした事実は、米国のアジア太平洋地域における軍事力増大の口実はもちろん、世界各地に展開した兵力維持の名分さえも喪失させた。

 こうした歴史的チャンスに米国は、南朝鮮駐屯米軍の撤退など、朝鮮統一に有利な環境を作るべきだった、と論文は主張している。

  南朝鮮駐屯米軍については。

  南朝鮮駐屯米軍は、朝鮮統一のガンであり、アジア太平洋地域の平和と安定のかく乱者だと明確に規定している。

 米軍撤退は、朝鮮半島の統一とアジア太平洋地域の平和と安定、持続的な経済発展の先決条件だが、ブッシュ政権は冷戦教理に従い、朝鮮半島の緊張激化によって、南朝鮮に対する軍事的占領と支配の口実を設けようとしており、ここに強硬タカ派が「北朝鮮脅威論」を流して冷戦復帰を企む主な目的がある、と強調している。

  「北朝鮮脅威論」の経済的目的は。

  米国の軍需独占体を肥やすことで、その1つがNMD(国家ミサイル防衛システム)の樹立だと指摘している。

 第2次世界大戦で肥大化した軍需産業を、大戦後いかに維持するかは米独占資本家にとって死活問題だった。だから、軍需独占体の代弁者である強硬タカ派は、独占資本家の利害関係と覇権的野望から「共産主義の脅威」をけん伝し、冷戦政策を実施した。

 しかし、冷戦の終息によって強硬タカ派は、軍拡競争の口実と各国への「統制力」を失った。そこでNMDに軍事的支配権確立を求めようとしているのだ、と分析している。

  NMDと「北朝鮮脅威論」とは、どのように結びつくのか。

  米国のNMD構想が本格的に推進されれば、死活的利害関係をもつ国々を刺激し、世界的版図で大々的な軍拡競争が起きる。すでに、ロシア、中国が対応措置をとるとの立場を明白にしており、米国の同盟国も憂慮を表明している。

 そこで、米の強硬タカ派は、朝鮮のミサイルがいまにも米本土を打撃しかねないという「北朝鮮脅威論」を持ち出したというわけだ。

  「北朝鮮脅威論」に対する反論は。

  世界を数10回破壊しても余るほどの自分たちの核・ミサイル兵器は、いかなる脅威にもならない「抑止力」で、民族的尊厳と自主権を守る朝鮮の自衛的国防力は「脅威」になり、「憂慮の対象」になるという論理こそ、典型的なならず者国家、テロ国家のギャング的論理だと論破している。

  朝米基本合意文について米国が見直しを示唆していることについては。

  朝米基本合意文の破棄によって生じるすべての結果について全的な責任を負うことになろう、と警告している。

  米国の力の政策に対する朝鮮の立場については、どのように表明しているのか。

  戦争にも、対話にも応じる用意を表明している。そして、核やミサイルなどの兵器が米国だけの独占物ではなく、朝鮮が米国の「力」に屈する国でもないと明らかにし、朝鮮はまだ米本土に一発の砲弾も打ち込んだことはないが、米国が戦争を挑発してくれば、朝鮮戦争の復しゅうの分も合わせて100倍、1000倍の報復攻撃を加えると明言している。

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