好評の「朝鮮カボチャの種プレゼント」

「民族の味」大事に育てたい

当選者に聞く


 3月2日付に掲載された「朝鮮カボチャの種プレゼント」に、各地の同胞から多くの応募が寄せられた。先着40人限定(10粒)とあって、本欄を読んだ直後に速達郵便でハガキを送ってきた人や、ガーデニングに関するエピソードをこと細かくつづってきた人も少なくなかった。当選者に、プレゼントに応募した理由と当選の感想を聞いた。(柳成根記者)

家庭菜園で楽しく栽培/千葉県松戸市 姜淑姫さん・白慶順さん


↑自宅前の「菜園」。手前がジャガイモ、その奥がサンチュ
←「畑を見て回るのは日課」と語る姜さん

 千葉県松戸市の主婦、白慶順さん(37)は、姑の姜淑姫さん(66)と当選を一緒に喜んだ。

 姜さんは2年ほど前から、自宅前の造成地を地主から借りて、近所の人たちと一緒に家庭菜園を始めた。広さは13畳ほど。これまでにサンチュやジャガイモ、大根を育て、孫たちにも「ハンメ(おばあちゃん)の畑で取れた野菜はおいしい」と好評だという。

 朝鮮カボチャを育てるのは初体験の姜さん。これまで様々なツテで種を探し求めたが、手に入らなかったからだ。本欄で紹介された栽培法を参考に、気候が暖かくなる5月の連休明けには種をまくつもりだという。「楽しみながら育てていきます」

 ちなみに、10粒の種は自宅以外に「実家のオモニ(母)、友人に分けた」(白さん)そうだ。

情操教育の一環として/南武朝鮮初級学校


↑昨年は児童たち自ら朝鮮カボチャの調理にも挑戦した
←本紙から送られた種と封筒を手に喜ぶ児童たち

南武朝鮮初級学校(神奈川県川崎市)では10年前から毎年、全学年で野菜や果物、花の栽培を行っている。「命あるものを育てる責任感を学ぶ、情操教育の一環」(柳順子先生)だ。

 トウガラシやトマト、落花生、メロン、イチゴ、スイカなど種類は様々。児童たちが自ら種をまき、水をやる。

 「朝鮮の味を知ろう」と、昨年、柳先生が担任を務めた当時の三年生が朝鮮カボチャに挑戦した。四粒の種をまき、うち二粒が発芽。カラスやネズミなどの外敵から守りながら、やっと一つが実を結んだ。

 児童たちは、「土の中の虫に触るのが嫌だった」と言いながらも、「実ができた時は嬉しかった」「スープに入れて食べたらおいしかった」「毎年でも作りたい」と感想を述べていた。

 今年は、昨年の経験がある4年生が3年生に教えながら、一緒に育てるという。種まきは5月の連休明けを予定しているそうだ。

「選択授業」の「農業」で/東北朝鮮初中級学校


「選択授業」の「農業」の時間に種をまく生徒たち(99年11月)

 東北朝鮮初中高級学校(宮城県仙台市)では、高級部の「選択授業」の「農業」で、朝鮮カボチャを扱ってみたいという。

 3年前から始まった「選択授業」は、週3回、全学年合同で行われる。基本の授業とは別に、生徒が16科目から1科目を選ぶ。毎週金曜日の「農業」科目では、15人の生徒が校庭の畑で野菜を育てている。

 春にはサンチュやキュウリ、ジャガイモ、トマトなど、秋には白菜やキャベツ、タマネギ、ニンニクなどを育てている。労働の大変さと楽しみ、土に触れ、自分で育てた野菜を食べる喜びを学ぶ。

 「昨年は日本のカボチャを育てたが、今年は『民族の味』朝鮮カボチャに挑戦しようと応募した」(李鐘大校長)。何より生徒たちが喜んでいるそうだ。

 寒さが一段落する5月10日前後に、種をまきたいそうだ。

大喜びの1世ハルモニ/奈良・天理の夜間学校教員 福島俊弘さん

 奈良県天理市立北中学校夜間学級の教員、福島俊弘さん(46)は、地元の朝鮮人強制連行真相調査団の調査活動に協力していた縁で、4年ほど前から朝鮮新報を読み始めたという。現在も総聯県本部から学校に送ってもらって愛読しているそうだ。

 夜間学級では週に6回、識字学習と教科学習を行っている。70人の全生徒中、1世の同胞ハルモニ(おばあさん)も20人ほど学んでいる。

 今回、福島さんがプレゼントに応募したのは、ハルモニたちと「懐かしの味」朝鮮カボチャを一緒に育て、おいしく食べたいと思ったからだ。

 「私が『当選した』と言ったら、ハルモニたちはそれはもう喜んで大変です。収穫を今から心待ちにしているようです。5月の連休明けには校内の畑を整えて、種をまきたいですね」と、福島さんは語る。

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