春・夏・秋・冬

 ここ数週間、新聞、テレビは自民党総裁選挙の報道であふれている。定住国の長となる人物を選ぶ選挙だけに、どのような政策、考えを持っているのか、やはり気になる。「守旧派」と「改革派」、マスコミは単純に候補者の図式を色分けしているようだが、なぜそのように色分けできるのか、さっぱり理解できない

▼というのも、彼らの発言を聞いていると歴史観、外交・安保政策など、日本のあり様の根幹に関わる部分について、意見の差異はほとんどないからだ

▼侵略者・日本の象徴である「靖国神社」には全員が「公式参拝する」と答え、朝鮮半島で軍事衝突が起きれば自衛隊派遣をするなど、「集団的自衛権」を行使すると明言している。さらに「つくる会」の教科書を巡る朝鮮、中国の厳しい批判を「内政干渉」だといい、きわめつけは在日同胞に対する「帰化」の強要である

▼日本社会の国際化が叫ばれて久しいが、少なくとも上述の発言からは進展があったようには思えない。むしろ「つくる会」教科書の検定合格に見られるように、「大日本帝国」に逆戻りしつつある危機感を覚えるのは筆者だけだろうか

▼第1次大戦後、失業と飢えの塗炭の苦しみの中に投げ出されたドイツ民衆の行き場のない不満、失望を、ヒトラーは「ゲルマン民族選民論」を煽り「ナチス第三帝国」建設に利用した。ユダヤ人虐殺というおぞましい事件も引き起こした。今の日本をドイツのそれと比較することはできないが、新味を求める余り内容を吟味もせずにムードに流されることほど怖い物はない。(彦)

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