人工衛星開発者も輩出
人材育成に取り組む朝鮮
理工大学、平壌コンピュータ技術大学
コンピュータに関する一般知識を学ぶ予備学部の講義の様子(コンピュータ技術大学) |
コンピュータ学部以外の学生にとってもコンピュータは欠かせない(理科大学) |
化学研究質の研究員たち(理科大学) |
国の経済発展に大きく寄与 科学技術立国へ 科学技術の発展に力を注ぐ朝鮮。本社発行の朝鮮語月刊誌「祖国」4月号には、朝鮮有数の科学者養成基地である理科大学と、コンピュータ・エンジニアを育てる平壌コンピュータ技術大学に関する平壌発の紹介記事が掲載された。その内容を紹介する。 平壌市内から平安南道の道所在地である平城市の方角へ車で20分ほど行くと、国家科学院を中心とした別名「科学地区」がある。理科大学は、そこに位置している。 キム・スンドゥ学長はまだ43歳の若さ。理科大学の卒業生であるキム学長は、2年前から母校の学長を務めている。 学長の話によると、理科大学の目的は、高等中学校を卒業する生徒の中で、とくに優秀な生徒を選抜して受け入れ、科学者として育てること。数学部、物理学部、電子自動化学部、生物学部、コンピュータ学部など8学部がある。学部の下には自動化講座、理論科学講座、計算数学講座など数十の講座があり、超小型電子計算機研究室、細胞工学研究室などの各研究室では、教官と学生が日夜研究を続けている。 学長だけではない。全般的に教員が若いのが理科大学の特徴だ。主に30代の前途有望な若き科学者たちが研究と教育を担っている。 理科大学の卒業生が朝鮮の科学技術発展の一端を担っていることは、学内にある「科学成果展示館」でよく分かる。ここには、朝鮮初の人工衛星「光明星1号」打ち上げに多大な寄与をした国家科学院数学研究所のキム・ソイン室長をはじめ、今や朝鮮科学界の権威として知られる有名な科学者たちが学生時代に残した数々の研究成果が展示されている。 とくに目を引くのは、90年代後半の「苦難の行軍」、強行軍の時代に残した同大教員らの研究実績だ。あのように困難な時期に、経済的な利用価値の高い数々の研究成果が成し遂げられていたのだ。 同大学には寮が完備されており、全国から集まった1000余人の学生がここで暮らしている。学生の話によると、科学技術人材育成に力を入れる国の政策により、理科大学の学生に国から支給される奨学金は他大学の学生に比べて3倍も多いという。 平壌市普通江区域にある平壌コンピュータ技術大学は、1985年9月に創立された比較的新しい大学だ。景色のいい烽火山のふもとに位置する同大学の学生数は2500人、教員・研究員は200余人。そう規模の大きくない大学と言える。 コンピュータ・エンジニア養成を目的とする同大学は7年制。入学した学生は全員まず、予備学部で3年間のコンピュータに関する一般教育を受け、4年目からは、コンピュータ工学部、情報工学部のどちらかを選び、専門を深める。 コンピュータ工学部では、コンピュータのシステム開発や各種プログラム産業に従事するエンジニアを、もう一方の情報工学部では情報システムを構築するエンジニアを養成する。 同大卒業生の主な進路は朝鮮コンピュータセンター、平壌プログラムセンター、科学技術センターなど。国の経済発展に大きく寄与している。 一方、学内でも教員、研究員、学生たちが多くの成果を上げている。99年11月の第10回全国プログラムコンテスト・展示会では、同大で開発した動画処理ソフトが特等に輝いた。このソフトは朝鮮中央テレビで採用され、放送の現場で力を発揮している。また同大は、南浦精錬所をはじめ各地の工場の生産工程のコンピュータ化にも貢献し、たびたび表彰もされてきた。 世界各国のコンピュータ関係の大学との科学技術交流も活発だ。 |