山で元気!
八ヶ岳(天狗岳)
(2640メートル、長野県)
太陽が雪山を紅く染める
東天狗岳頂上で(後方は西天狗岳)
今年の第7回在日同胞大登山は、全国3地域に分けて行われる。東日本ブロックは9月上旬、八ヶ岳を予定。踏査のため天狗岳に6人で登山した。
巷は春だが、八ヶ岳はまだ冬山。中央本線茅野駅から、タクシーで奥蓼科・渋の湯へ。登山口からすぐ雪の山道を急登、ダケカンバの混じる常緑針葉のシラビソ樹林の中を行く。樹間に青空がのぞき、木漏れ日にきらめく雪道は、よく踏まれて歩きやすい。枝先にツララがぶら下がる樹林の中を登りつめ、樹林帯を抜け出た所が黒百合平。 初夏に黒百合の花を咲かせる草原の平地はいま雪の原野。山小屋の黒百合ヒュッテに着いて、赤々と燃える薪の暖炉に迎えられ、ひと息ついた。 積雪2メートル、夜の気温零下5度、寝床に豆炭あんかも入れられた。他に客はいない。炉端で氷柱割りを飲みながら、ソーラー発電の灯が消されるまで語り合った。 翌朝、昇る太陽が雪山を紅く染めながら明ける、一瞬の荘厳な光景に接した。小鳥がさえずり、リスが雪の上を横切るのが目撃された。 今日も昨日に続いて快晴。東天狗岳へ向う。雪原に描かれた風紋が美しい。雪の下では、コマクサやハイマツなどの高山植物が雪解けを待っている。 踏み跡のはっきりしない雪道をたどり、ゴロゴロした岩を越え、天狗岳山頂に立った。ここは遮るもののない見晴台。雪を被った西天狗岳は指呼の間、稜線上の南に鋭い岩峰の赤岳、阿弥陀岳が並び、北側には茶臼岳、北横岳の向うに、冠雪の蓼科山が大きく見えた。煙たなびく浅間山の向うに、北、中、南アルプスの山並みを遠望する360度の大パノラマが広がるすばらしい景観である。 太陽節「マンセー」の叫び声が山頂に吹くさわやかな春風に乗って、八ヶ岳の山々に響き渡った。 西天狗岳から先の下山道は雪に消えて行けない。往路を下り、渋の湯御殿湯で入浴休憩し、横谷温泉などを下見して帰った。(在日本朝鮮人登山協会副会長李福権) |