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「つくる会」の中学歴史教科書が検定合格した直後、日本人教員たちと座を共にする機会があった。「こんな教科書によって子どもたちが教えられることになれば、確実に目はゆがむ」と、一様に怒りを隠さず、非難、批判、糾弾の声が渦まいた。しかし、後の祭り。今後この問題は、教科書採択の場へと移っていく
▼検定合格という現実にどのように対処していくのか。参加者の1人によると、6月初めには刷り上がった全教科書が学校現場に届けられ、それぞれ担当教師たちが内容を点検して意見を添付。それを各教育委員会が集め、そこでの討議を経て最終的にどの教科書を採択するのか、結論を出すという ▼本紙でも指摘したが、くせ者はこの教育委員会での討議、決定である。その過程、内容はいっさい非公開。現場の教師たちの意見が参考にされたのかどうか、それすらもまったくわからないという。さらには実際に、教育委員会での討議に誰が加わるのか、それも非公開。大阪の一部の地域では、保護者たちが討議メンバーに加えられたこともあるというが、「例外中の例外」だという ▼このような「闇のなか」での採択作業の一方で、教える側の教師たちが「侵略の歴史」をどれほど認識しているのか、という問題も深刻だという。「日韓併合がなぜ過ちなのか、ということを語ることができなければならないが、受験の知識としてしか知らない教師が多すぎる」と、現場の状況も危機的らしい ▼「朝鮮再侵略準備の一環」とよく表現するが、本当に空想の話ではなくなってきている。(彦) |