本の紹介

「順伊(スニ)おばさん」

玄基榮著 金石範訳


 済州島4.3文学の珠玉の短編集。南における4.3文学の出発点といわれている「順伊(スニ)おばさん」は、済州島北村里で数百人の老若男女の住民が軍人によって虐殺された、いわゆる「北村里事件」を題材にして、そこに作家の故郷・老衡里での体験を交えながら4.3の悲惨さをリアルに描いたものである。

 軍人の虐殺と、その渦中で九死に一生を得て生存した「順伊おばさん」の精神が後遺症によってどのように荒廃し、死に至ったのかを、粘りのある文体で克明に描写している。

 また、島民たちの抑えられた悲しみと怒りを通して、虐殺事件を文学的に告発しようとする意図がはっきりと伝わっている。(1600円+税、新幹社。注文の問い合わせはコリアブックセンター=03・3813・9725)

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