春・夏・秋・冬

 歴史家・網野善彦氏の近著「日本とは何か」(講談社)が好評だという。その反響からか、20日にはシンポジウム(藤原書店主催)が開かれる。日本の近代化の中でゆがめられてきた朝・日関係をとらえ直すことがテーマ。南の詩人・高銀氏も出演する予定だ

▼同書の中に、しばしば「耽羅」「耽羅鰒(たんらのあわび)」という言葉が登場する。済州島の旧名である耽羅が日本と深い関係にあったことを、とりわけ鮑の採取を通じて古い時代から深い関わりがあったことを歴史事実を列挙しながら詳しく書いている

▼北九州の海夫だけでなく、肥後(ひご=熊本県)、豊後(ぶんご=大分県の大部分)、志摩(しま=三重県の一部)、さらに常陸(ひたち=茨城県の大部分)までが済州島と鮑の採取を通じて古い時代から深い関わりがあった。済州島から北西九州を経て、瀬戸内海に入り、紀伊半島を廻って、伊勢湾を通り、太平洋の道を、伊豆半島・房総半島をこえて常陸・下総(しもうさ=千葉県の北部および茨城県の一部)までいたる、海夫・海部の道。網野氏は、おそらくこの道はさらに北上し、現在の太平洋側の潜水漁の北限といわれる東北の三陸あたりまで達したと指摘している

▼本紙では、朝鮮の最新の研究成果を視野に入れた連載「海峡を越えて」―前近代の朝・日関係史を掲載している

▼朴鐘鳴氏の「連載にあたって」掲載後、日朝友好南山城市民の会は朴さんを講師に招いて連続講座を始めることにした。1回目(21日)は「古代から仲良しだった日本と朝鮮半島」。(舜)

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