オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲F
年金制度の仕組みを教えて
2段構造、20歳以上に義務
Q 43歳の専業主婦です。コンピューター関連会社に勤務する夫(給与所得者)と、子供2人(長男、長女)の4人家族です。大学に通う長男は、この2月に20歳の誕生日を迎えましたが、役所から長男あてに「国民年金保険料納付案内書」なるものが送られてきました。私たち夫婦も長男も年金加入のための申込書などを書いた記憶はありません。また、今まで私たち夫婦あてにこのような案内書が送られてきたことはなかったのですが…。 A 年金制度の仕組みは複雑で、一般の人にはとても分かりにくくなっています。まず、質問に答える前に年金制度の大枠を説明します。 日本の公的年金制度は2階建て構造になっています(左図参照)。1階部分は公的年金制度のベースとなる国民年金(基礎年金)です。この国民年金に2階部分がプラスされます。この2階部分を厚生年金保険、共済制度といいます。この厚生年金保険などに加入する被保険者は、本人が意識することなく国民年金にも加入することになります。 公的年金制度のベースとなる国民年金の保険料は、収入に関係なく月額1万3300円(2001年度)です。しかし、厚生年金保険や共済制度は、その人の収入によって支払う保険料が違ってきます。 また、国民年金法では、国民年金に加入すべき被保険者を次のように定義していますいずれも国籍要件はありません)。 @第1号被保険者…日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者(第2号及び第3号被保険者に該当するものを除く)。ただし、老齢給付等の受給権者は除く。 A第2号被保険者…厚生年金保険の被保険者、共済組合等組合員で年齢要件、国内住居要件はない(20歳未満60歳以上も含む)。 B第3号被保険者…第2号被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の者。国内住居要件はない。ただし、収入要件あり。 それぞれの被保険者を分かりやすく説明すると、第1号被保険者は20歳以上60歳未満の自営業者、農業従事者、学生など、第2号被保険者はサラリーマン、OLなどの給与所得者、公務員、第3号被保険者は20歳以上60歳未満の主婦(主夫)のことです。 さて、ここでやっと質問の件です。前述のとおり、20歳になると収入がない学生の方も必ず国民年金に加入し保険料を納めることが法律で義務づけられています。国民年金加入のための申し込みなどを役所に提出することなく、20歳になると自動的に年金に加入することになります。ですから、ある日突然、役所から「国民年金保険料納付案内書」なるものが送られてきたのです。 子供が働いて収入があれば別ですが、学生で収入がなければ、保険料を納めるのは本人ではなく「親」になるのが一般的ですが、毎月の年金保険料の負担はバカになりません。しかし、保険料を滞納すると後で大変なことになる場合があります。 この件については、次回、詳しく説明することにします。 では、なぜ今までご夫婦あてには、このような案内書が送られてこなかったのでしょう? 給与所得者である夫は、第二号被保険者として会社の厚生年金保険に加入していて、それと同時に国民年金にも加入しているのです。厚生年金加入者は、毎月の給料から厚生年金保険料を控除されていますが、この控除される厚生年金保険料の中には、加入者本人と加入者に扶養される配偶者の国民年金保険料分も含まれていて、加入者本人と扶養配偶者がわざわざ国民年金保険料を納めなくても良いようになっているのです。ですから、今までご夫婦あてに案内書がこなかったのです。 このように、現在の年金制度では、厚生年金加入者に扶養される配偶者は、自分自身が保険料を納めなくても、将来的には年金を受け取る権利(年金受給権)を得ることができるようになっています。働く女性や自営業者の妻にはうらやましい限りです…。 (ハン・ジョンチョル ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士) |