フレッシュマン 覚えておきたい

ビジネスマナーの基本


 長引く不況で「就職氷河期」と呼ばれて久しい昨今。この春も多くの若者が、様々な職場で新たな一歩を踏み出した。21世紀の在日同胞社会を担う若い同胞たちも同様だ。だが、いざ社会に飛び出してみると、正しいビジネスマナーが求められる場に各所で遭遇することになる。新社会人として覚えておきたいビジネスマナーのうち、名刺交換、言葉づかい、接客・交渉マナー、電話応対の基本を紹介する。

名刺交換/両手で出し右手で受ける

 初対面の相手に対して行う最初の大事な仕事が、名刺交換である。名刺は自分が勤める会社の代表であることを証明するものであり、名刺交換はビジネスにおける基本中の基本だ。

 まず、専用の名刺入れを用意する。名刺入れには常に余裕を持った枚数の名刺を入れておく。

 名刺を渡す際は、自己紹介をした後、訪問者のほうが先に差し出す。交換する相手が複数の場合は地位の高い相手から順に渡す。

 名刺は両手で持ち、相手が見やすい向きで相手の胸元に差し出す。名前や社名が指で隠れないよう注意する。相手の名刺は右手で受け取り、左手を添える。相手と同時に交換する場合は、右手で差し出し、左手で受け取る。

 交換が終わっても、受け取った名刺をすぐにはしまわない。面談中は自分の目の前に置いておく。

言葉づかい/敬語表現に細心の注意

 職場では、様々な役職、年齢の人たちと様々な場面で接することになる。最も注意が必要なのが、言葉づかいだ。中でも、できそうでなかなかできないのが、敬語の表現。相手に敬意を表する最低限のマナーだ。

 朝鮮語でとくに注意したいのが、目上の人の前での「自分」の表現。「ネガ」(=私が)、「ナヌン」(=私は)はという表現がよく見られるが、これは同世代か目下の人に使う表現。へりくだりの表現である「チェガ」(=私が)、「チョヌン」(=私は)が正しい。

 また、「オショッスムニダ」(=いらっしゃいました)、「カシプシオ」(=いってらっしゃい)のように、尊敬を表す「F」をはさんだり、「ニョンセ(=歳)、「ケシダ」(=いらっしゃる)、「トゥリダ」(=差し上げる)、「チャプスシダ」(=召し上がる)といった独特の敬語表現も覚えておきたい。

 日本語の場合も、「おっしゃる」「いらっしゃる」「召し上がる」「ご覧になる」といった「尊敬語」と、「申し上げる」「参る」「いただく」「拝見する」など、自分をへりくだる「謙譲語」を使い分ける。

接客・交渉/「聞き上手」心掛けよう

 仕事において必ず遭遇するのが、接客と交渉である。来客応対であれ、自分が訪ねる場合であれ、相手に失礼のないよう正しいマナーを心掛けよう。

 来客を案内する際は、来客の歩く速度に合わせて2、3歩前を歩くよう心掛ける。エレベーターでは、自分が先に乗って来客を迎え、降りる時は来客を降ろした後に自分が降りる。会議室や応接室に入る際は、外開きのドアの場合は来客を先に通し、内開きの場合は自分が先に入ってから来客を迎える。見送りは、来客の姿が見えなくなるまで見送るのが礼儀だ。

 他社を訪問する際には、必ずアポイントメント(会う約束)を取る。約束の定刻の十分前には現地に到着するのが望ましい。

 面談・交渉の際は、相手に用件を簡潔明瞭に伝えるためにも、あらかじめレジメを準備するのが良い。発言は、自分より相手中心の会話になるよう「聞き上手」を心掛ける。独り善がりの交渉はタブーだ。

電話応対/「5W1H」を明確に

 相手の表情が見える接客と違い、電話では声と言葉だけで意思や情報をやり取りしなければならない。直接、会って話す以上に、細心の注意を心掛けよう。

 「もしもし」に当たる朝鮮語は「ヨボシプシオ」。「チャムカン キダリョジュシプシオ」(=少々お待ちください)など、きちんとした敬語表現を心掛ける。

 相手の話を聞く時は、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、という「5W1H」を明確にする。

 相手が聞き取りやすいよう、ゆっくりと、明瞭に話すことを心掛ける。電話を切る際、得意先や目上の人からの電話の場合は、相手が受話器を置いたのを確認してから電話を切る。

 電話応対でありがちなのが、相手の社名や名前、呼び出す相手の確認のし忘れ。相手が名乗らない場合は必ず、相手に尋ねる。

 内線で他の社員に取り次ぐ際は、取り次ぐ相手に直接、どこから誰あてへの電話なのかをきちんと伝える。相手を確認せず「お電話です」の一言で済ますのはマナー違反だ。

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事