危険な教科書を子供たちに渡すな
市民団体のアピール(要旨)
「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民教科書が検定合格したことと関連して3日、日本の12市民団体が発表した共同アピールは要旨次のとおり。アピールを発表したのは、「教科書に真実と自由を」連絡会、子どもと教科書全国ネット21、社会科教科書懇談会世話人会、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク、全国民主主義教育研究会、高嶋教科書訴訟を支援する会、地理教育研究会、日本出版労働組合連合会、日本の戦争責任資料センター、ピースボート、歴史教育者協議会、歴史の事実を視つめる会。
◇ ◇ 一部修正後も、この教科書の全体を貫く基本姿勢は本質的に変わっていない。 第一に、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、その侵略性を認めず、アジア解放のために役立った戦争として美化し肯定する立場が貫かれている。韓国併合・植民地支配への反省はなく、むしろ正当化する考えは残っている。 第二に、神話を史実であるかのように描いた記述にもほとんど変化がない。 第三に、日本の歴史を天皇の権威が一貫して存在していたかのように描く一方でアジア諸国の歴史を根拠もなく侮蔑的に描き、偏狭な日本国家への誇りを植えつけようとしている点もほとんど変化が見られない。 第四に、旧大日本帝国憲法や教育勅語を礼讚する記述は変わらない。 第五に、憲法第九条「改正」論を基調に、国防の義務、国家への奉仕を強調する記述も変わらない。 このような日本国憲法否定・国際公約違反の教科書が出現したことについて、日本政府の責任は重大だ。 第一に、文部科学大臣が検定権限を持つ教科書検定制度がある以上、検定合格がその教科書を公的に承認する結果となる。 第二に、この教科書を検定に合格させるために、全国的な政治活動をこの間展開してきたのは、ほかならぬ政府与党の政治家だ。 私たちは、日本国憲法を否定し国際孤立の道へ踏み込む危険な教科書が、子どもたちの手に渡されることを許すことはできない。 |