春・夏・秋・冬

 やはりと言うか、とうとうと言うか、懸念していたことが現実に起きた。1日に中国・海南島上空で起きた中国軍戦闘機と米軍偵察機の衝突のことである。NMD(国家ミサイル防衛システム)の推進など、タカ派的色合いの強いブッシュ米政権の登場によって、なんらかの軍事的衝突があるのではないか、と危ぐしていた

▼事件の詳細は日本の新聞で報じられているのでそれに譲るとして、問題はその背景。事件の10日前にラムズフェルド米国防長官が、中国の軍事力拡大をにらんで太平洋地域での紛争対処に重点を置く方針を固め、ブッシュ大統領から原則的な承認を得ていた。起きるべくして起きた事件である

▼事件の第一報を聞いて、とっさに想起したのは、68年の「プエブロ」号事件だった。電子装備を満載した米海軍のスパイ船が、朝鮮の領海でスパイ活動を行っていたところを朝鮮人民軍がだ捕した。米国は原子力空母を派遣するなど、あらゆる手段で朝鮮を屈服させようとしたが、結局、謝罪したのは米国だった

▼次に思い浮かんだのは、一昨年の米軍のベオグラード中国大使館誤爆事件。当時、一部の強硬派が戦火を拡大するために、わざと中国大使館を爆撃したという うわさ がささやかれていた

▼3つの事件に共通するのは、米国から遠く離れた場所で起きていることと、謀略のニオイがぷんぷんすること。わざわざ海南島くんだりまで出かけなくて良いものを、のこのこ出ていって火種をまき散らかしている。米国は朝鮮半島だけでなく、世界中に災いをもたらしているのだ。(元)

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