在日の歴史、なんでもQ&A
チマチョゴリ事件とは?
朝鮮学校の女生徒攻撃/政治緊張もたらす「事件」後に発生
チマ・チョゴリを切り裂かれた朝高の女子生徒
Q チマ・チョゴリ事件とは?
A 1980年代から90年代に頻発した、朝鮮学校生徒に対する暴言・暴行・傷害事件のことです。とくに、チマ・チョゴリを着た女子生徒が攻撃の対象となったため「チマ・チョゴリ事件」と呼ばれるようになりました。 被害状況報告によれば、被害者たちは満員の通勤・通学電車の中で、あるいはプラットホームの雑踏で、チマ・チョゴリをナイフやはさみで切り裂かれ、髪を切られ、腹部を殴られるなどの被害にあっています。さらに、「朝鮮人臭い」「朝鮮人帰れ」「朝鮮殺すぞ」と言った民族を侮辱する暴言も浴びせられています。事件発生現場は雑踏がほとんどで、目撃者が多くいたはずにもかかわらず、数例を除いては被害者を助けようとしていません。 被害者はおもに中学・高校生ですが、チマ・チョゴリを身につけていない小学生や男子生徒にも及んでいます。一方加害者は、20代から40代の男性を中心に、小学生から70代の老人に至るまで、老若男女を問わず、幅広い層にわたっています。また、朝鮮学校のあるほとんどの地域で起きています。 このような事件が短期間に全国的規模で集中したのは、KAL機行方不明事件(87年11月)、パチンコ疑惑事件(89年10月)、「北の核疑惑」問題(94年4月)、最近は「北のミサイル騒動」(98年9月)後のことです。 これらを検証してみると事件発生のメカニズムが浮かび上がります。それは朝鮮半島をめぐって政治的緊張をもたらす「事件」の発生→事実確認もせず日本政府と政治家が朝鮮バッシングを開始→メディアによる情報の増幅→朝鮮人蔑視・差別意識の助長→そして朝鮮学校の生徒に対する暴行・脅迫事件が発生するというものです。 事件を繰り返さないためには、日本政府が朝鮮人差別政策を改めることはもとより、朝鮮に対する敵視政策を是正しなければならないでしょう。(金大遠、研究家) |