母校大切にする心忘れないで
大阪・生野初級の父母ら 卒業生全員にビデオ贈る
1日の学校生活など収録
6年生全員にプレゼントされたビデオの1場面
3月20日に行われた生野朝鮮初級学校の第10期卒業式で、70人の卒業生にアボジ、オモニたちから1日の学校生活を収めた記念ビデオが贈られた。今年の卒業生たちは4年連続の「学習で模範になった学校」、初の「クラブ活動で模範になった学校」表彰を受けるうえで中心的な役割を果たした。「母校を愛する心を忘れずに育ってほしい」、との願いが込められたビデオ。その気持ちは卒業生たちにしっかりと伝わったようだ。
ビデオは45分編集で、担任の先生が校門で児童を出迎える登校風景から始まる。カメラを意識してか、みんな少し緊張気味な様子だが、授業や休み時間、放課後の掃除やクラブ活動など、カメラが回っていくうちに普段の自然な表情に戻っていく。 全編を通じてクラス全員のアップが盛り込まれるよう構成されており、昼食時間には「いつもおいしいお弁当コマッスムニダ(ありがとう)」などと、オモニに感謝のメッセージを送る場面もある。学校生活以外にも、中央芸術大会で優秀作品に選ばれた舞踊部の踊りと洋楽器部の演奏、「コマ(チビッコ)サッカー大会」で優勝したサッカー部の祖国訪問、1月末に同校で開かれた親子餅つき大会の様子などが収録されている。 ◇ ◇ ビデオのプレゼントを思い立ったのは、卒業生の1人である梁智弘くんのアボジ、梁明さん(52)だ。同校ではこれまで、保護者から卒業生に辞典や図書券などが贈られてきたが、「卒業後も在学中の生き生きと遊び学ぶ自分の姿を思い返し、民族教育の大切さ、母校を愛する心を忘れずに育ってほしい。それにはビデオが最適ではないか」と思ったのが動機だった。 そして昨年6月、「アボジの1日奉仕労働」で学校の運動場を整備した際、他のアボジたちに呼びかけたところ、多くの賛同を受けて「やってみよう」ということになった。 費用などの問題で一度は頓挫したが同年9月、保護者の間でこの話が再燃。校長や担任の先生らと話し合い、実現へと動き出した。 脚本は担任の金秀美、李昌受先生が担当し、日頃同校の撮影を依頼されている、呉世和さん(兵庫県在住)のビデオ製作所「セファ」の協力で作製された。 ◇ ◇ ビデオ撮影のため、1月末に催された親子餅つき大会には、予想を上回る60余人のアボジ、オモニが集まった。「普段はなかなか触れ合う機会がないが、今日は心ゆくまで子どもと共に楽しめた。また、保護者同士の親ぼくを深めることもでき、いい思い出となった」と、参加者たちは口をそろえていたという。 梁明さんはこの6年間を振り返り、「経済的に負担もかかるが、朝鮮学校には日本学校で得ることのできない大切なものがある。友達を思う気持ちや民族を愛する心を養ってくれた生野初級を、息子の卒業後も盛り立てていきたい」と述べていた。(李明花記者) |