新世紀へ−民族教育を歩く

大きな一歩


ドキドキの入学式(昨年、東京第9初級で)


 今年もまた春が来て、各地のウリハッキョが新1年生を迎え入れた。毎年のことだが、毎回新しい感慨に包まれる。つい先日、大きく成長した姿で卒業生があとにしたその校門から、まっさらで小さな子どもたちがやって来るのだ。

 新1年生の中には、当然のことながらウリマルを生まれて初めて耳にする子もいる。だから、1年生の担任が一番初めにすることは、ひとりひとりの名前を呼ぶこと。もちろんウリイルム(朝鮮名)で。

 「入学式場に入る前に、まず教室でひとりずつ名前を呼び、『イェ!(はい)』と答える練習をします。それでも緊張のあまり式場に入りたくないと泣き出したり、名前を呼ばれて、思わず『はい』と日本語で答えてしまう子もいるんですよ(笑)」

 1年生のベテラン担任が明かす数々のエピソードは、微笑ましくも興味深い。まっさらな子どもたちが、一年後にはしっかりとウリマルであいさつをし、民族の歌や踊りを楽しげに披露して見せるまでになる。その姿に、感動を覚えない者はない。が、それはほんの一歩で、本番はそこから先。最長16年間、大学まで続く民族教育は、人間の成長過程に即した体系的なものだからだ。

 「今、子どもやその親となる新世代の同胞たちが、民族と密に接する場は、ウリハッキョのほかに無いといっても過言ではないでしょう」

 その校門をくぐる「はじめの一歩」は、自身のルーツを忘れず、誇りたかく生き抜こうとする者たちにとって、最も「おおきな一歩」となるはずだ。(姜和石記者)

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