こちら同胞生活相談総合センター「兵庫」

「地域に根ざした同胞福祉」

地域センターを積極的にサポート


協議会発足、本格始動/給付金増額、施設設置など

小冊子3000部配布

 1996年5月に開設され、今年で満5周年を迎える「兵庫同胞生活相談センター」(神戸市中央区)。これまでに、弁護士や司法書士など約30人の朝・日有資格者の協力のもと、350〜360件の相談案件を解決してきた。

 趙富雄所長によると、案件の中でも目立ったのが、阪神・淡路大震災後の住居問題。自宅を失った同胞が住まいを求めたり、立ち退きに関するトラブルなど、とくにセンター開設後の2、3年の間に相談が集中したという。

 このほか、センターには相続問題や金銭トラブルなど様々な案件が持ち込まれる。経営・税務に関する相談は兵庫県商工会、若い世代を中心に年々要請が増え続ける民族結婚の問題は兵庫同胞結婚相談所と、それぞれタイアップして解決を図っている。昨春には、生活・権利問題の簡単なQ&Aなどを記した小冊子「生活べんり帳」を県内に3000部配布した。

 直接、センターに寄せられる相談の解決はもちろんだが、兵庫県全域をフォローする立場として重要視しているのが、県内15の総聯支部すべてに設けられている同胞生活相談綜合センターの強化である。

 「それぞれのセンターが地域同胞のコミュニティーセンターとして、案件を円滑に処理できるようサポートするのも、県センターの大きな役割」と、趙所長は語る。

高齢者ネットワーク

 兵庫センターが近年、とくに力を入れているのが・「地域に根差した同胞福祉」というテーマである。

 昨年3月、総聯、朝青、女性同盟、長寿会など各団体で作る「兵庫同胞福祉問題協議会」が立ち上げられた。兵庫センターとタイアップして、行政や他の福祉団体、福祉・介護サービス業者と連携しながら、同胞高齢者の集まりである長寿会の活動サポートや、同胞障害者同士、あるいは障害者を持つ同胞家族同士のネットワーク作りを推し進めている。

 それまでは福祉問題も兵庫センターが一括して取り扱ってきたが、「同胞福祉の問題は今後の同胞社会において非常に重要な位置を占める」(千※(※=日編に丙)豪・協議会事務長)との認識から、独自の団体発足に至った。

 発足から1年。この間、協議会では、同胞高齢者・障害者の実態調査、県内の各種イベント・公演への無料招待、同胞高齢者自ら出演する音楽会の開催(昨年10月)、同胞青年によるボランティア活動の促進など、様々な試みを行った。

 姫路、姫路西の両支部には、高齢者が集まる同胞福祉施設「老人いこいの場」を設け、姫路市から補助金も獲得した。3月には、障害児を持つ同胞オモニ(母親)のネットワーク「『ムジゲ』姫路連絡会」(ムジゲ=虹)が発足した。

 また、無年金状態にある同胞への福祉給付金増額を求める運動も積極的に行い、今年4月からは、県内の各市町から、高齢者には2万円、障害者には4万5000円(神戸市は5万6000円)が一律支給されることになった。

 千事務長は、「同胞福祉に全力を傾けるセンターと協議会の努力が認められた結果だ。活動を通じて私たち職員も、同胞福祉の重要性を再認識できた」と振り返る。

情報提供が課題

 兵庫センターが今後、取り組むべき課題として、趙所長は情報提供を挙げる。「同胞は、福祉問題をはじめ、日常生活における様々な情報を欲している。実際、センターに寄せられる相談ごとも、海外旅行における留意点など、こちらから発信すれば解決するものが少なくないんです」

 また、民族教育における福祉教育の在り方を考える場を設けることなども考えているという。

 「センターの基本姿勢は『私たちがすべて解決する』ということ。結果を出せば同胞は期待と信頼を寄せてくれる。真に同胞に尽くすセンターであり続けたい」 (柳成根記者)

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