人種差別撤廃条約とは?


 人種差別撤廃の重要性、差別撤廃への最低基準を示した国際人権条約で、正式名称は「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」。国連で1965年に採択され、69年に発効した。日本の外務省によると、締約国は昨年9月末現在で156ヵ国。日本は95年に加入している。

 同条約は人種差別を、「人種、皮膚の色、門地(家柄)または民族もしくは種族的出身に基づくあらゆる区別、除外、制約または優先であって…人権および基本的人権を認識し、享有しまたは行使することを妨げまたは害する効果を有するもの」と定義。日本では在日同胞や他の外国人はもちろん、部落差別、アイヌ民族や沖縄出身者への差別なども該当する。

 締約国は、こうした差別を撤廃するため、あらゆる施策を「遅滞なく」追求しなければならない。つまり同条約は国家による人種差別などを禁止しているのはもちろん、社会における差別をなくすことも国家の責務としている。そのための基本方策として、@悪質な差別行為や差別団体を法律で禁止A被害者に対する裁判所と国家機関による有効な救済B劣悪な状況に置かれている人々への特別措置C差別観念を取り除くための教育・マスメディア・文化活動の奨励Dお互いの独自性を尊重し共に連帯する取り組みの奨励――などの措置を取るよう求めている。

 締約国は2年に1回(初回は締結から1年後)、順守状況に関する報告書を国連事務総長に提出する。人種差別撤廃条約の各締約国の条約順守状況を監視するため国連に設置された人種差別撤廃委員会はこの報告書をもとに、締約国政府代表と公開の場で議論しながら審査。審査結果をまとめた「最終所見」(最終見解、総括所見ともいう)を採択し、懸念事項について改善を勧告する。審査では各国NGOの情報も参考にされる。

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