最近の朝鮮の対米論調(上)

「われわれにも選択権ある」

力には力で戦争には戦争で


 朝鮮への強硬姿勢を繰り返しているブッシュ米政権に対し、朝鮮のマスコミが非難の声を強めている。労働新聞、朝鮮中央通信などは、米国が「ら致」やテロ国家などの言いがかりをつけて、朝鮮との関係正常化を合意した朝米基本合意文を履行していないことを指摘するとともに、力や軍事力をもって朝鮮を圧殺しようとしていることを厳しく非難。米新政権が対朝鮮政策を変更しようとする目的は、統一に向けた北南朝鮮の対話にブレーキをかけ、朝鮮を力で圧殺することにある、と論破した。また、米国が朝鮮半島周辺に軍事力を増強していることに強い警戒を示している。2月21日からの対米論調を朝鮮通信からまとめた。

 ◇2月21日

 朝鮮外務省スポークスマン、米国新政府の外交・安保協力チームが「条件付きで徹底した相互性」を追求すると朝鮮に対する強硬姿勢をとっていることと関連し、談話を発表。関係改善の方向に進んでいた朝米関係をひっくり返し、米国の侵略的な本性を露にしたものとして「警戒心を抱かせている」と指摘。

 朝米双方は朝米基本合意文などを通じて関係正常化に合意しているにも関わらず、米国は軽水炉建設や重油提供の義務を果たしていない、と非難。「われわれは常時、いかなる事態にも対処する準備を整えている」と警告。

 ◇23日

 民主朝鮮、フォーリー駐日米国大使が日本と太平洋地域の米軍兵力を削減する意思がない、と発言したことは、「軍事的支配権の確立をねらっている」と指摘。

 ◇3月1日

 朝鮮外務省スポークスマン、朝鮮中央通信社記者の質問に答え、米国務省が「世界人権報告書」の中で朝鮮を批判したことを非難。

 ◇3日

 朝鮮外務省スポークスマン、朝鮮側の「対話には対話で、対決には対決でこたえる」(2月21日)との発言について米新政府が強硬発言を連発していることと関連し、これに対する原則的な立場を表明する談話を発表。「米国が対話で挑むなら、朝鮮も対話でもって応じ、対決で挑むなら対決で立ち向かう」と指摘。

 また、「脅威を受けているのはわれわれ」で、軽水炉建設遅延による電力不足がその象徴だと言及。朝米合意を履行しない米国の責任を追及しながら、「実際的な行動処置」を要求、電力損失の解決策を早急に提示することを求めた。

 ◇6日

 朝鮮外務省スポークスマン、朝鮮中央通信社記者の質問に応え、米国が「麻薬問題」で朝鮮を疑惑の対象に挙げたことについて、「朝鮮に対する根拠のない謀略だ」と非難。

 ◇7日

 労働新聞、米国の「太平洋防衛」構想には同国の新たな戦略的企図が盛り込まれていると指摘。「『本土ミサイル防衛』(NMD)の範囲をヨーロッパにまで拡大して同盟諸国の支持を得、ロシアを孤立させようとしている」。

 ◇12日

 労働新聞、米国は「ら致」や「テロ」問題を朝鮮への圧力の手段として利用していると述べ、「米国が強権で挑戦してくるなら、強硬に対応せざるをえない」と警告。

 ◇13日

 労働新聞、米国のNMDシステム樹立策動は、世界の戦略的安定と安全を破壊すると指摘。

 ◇14日

 労働新聞、昨年9月に米日両国が「戦域ミサイル防衛」(TMD)システムに関する共同研究に合意したことに言及、「米新政府は、日本との軍事同盟強化を対朝鮮圧殺戦略実現の重要なかなめとしている」と指摘。

 ◇15日

 労働新聞、米国が緩和の兆しが見え始めた朝鮮半島の情勢に激しく挑戦しているのは、北南間の対話を破壊し、朝鮮民族の統一運動にブレーキをかけようとする腹黒い企図の発露だと指摘。

 民主朝鮮、米議会調査局が「北朝鮮のテロ問題に関する報告書」で、朝鮮に「テロ支援国家」のレッテルを貼り、米国務省が「世界人権状況に関する年例報告書」で朝鮮が「外国人ら致問題」に関与したと言いがかりをつけたことを挙げ、米国新政権が無分別な対朝鮮敵視政策を追及している、と非難。

 ◇16日

 朝鮮中央通信、朝鮮戦争が米国の200余年間の侵略史上初めての大惨敗であったにも関わらず、米国の好戦勢力はこの教訓をくみとっていない、と警告。

 労働新聞、最近米本土などから新しい武力が朝鮮半島周辺に投入されている、と指摘。「米国の支配層は米・日・南朝鮮の3角軍事同盟化を強化し、アジア版NATOを作りあげ、東北アジアを支配しようとしている」。また、米国務省がこのほど発表した「2000年人権報告書」で朝鮮の「人権問題」に言いがかりをつけたのは、「露骨な内政干渉」だと非難。

 ◇17日

 労働新聞、米国の現支配層は、情勢を朝米基本合意文採択以前の状態に逆戻りさせようとしていると非難。「選択権はわれわれにもある」と警告しながら、米国は力には力で、戦争には戦争で応じるという、われわれの意志と気質をはっきり見極め、軽挙妄動してはならないと指摘。

 米国政府の強硬保守勢力が朝米基本合意文の履行にブレーキをかけようとしている目的は、軽水炉建設を長引かせ、朝鮮の自主的原子力エネルギー工業の発展を阻み、経済的・軍事的潜在力を弱め、さらには、朝米合意文を破棄し、軍事力を動員して朝鮮を圧殺することにある、と非難。

 また、厚木基地での夜間離着陸訓練、米軍の各種艦船が日本の民間港に入港したことなどをあげ、「米国は新たな朝鮮戦争挑発計画を実践に移す作業を積極的に推進している」と指摘。

 祖国平和統一委員会書記局、慶尚北道慶山の鉱山で米軍によって殺された2000柱以上の遺骨が発掘されたことに触れ、米国の公式謝罪と補償を要求。

 朝鮮中央通信、米国新政府の強硬保守勢力は「北朝鮮のミサイル脅威に対処」すべきだと提唱し、その共同対処に同盟国まで引き入れよう、としていると指摘。

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