1人でも多くの子どもに民族心を
朝銀千葉、大阪・東成
青年学校を訪ねて
熱心に学ぶ受講生たち
(朝銀千葉本店班)
各地の在日本朝鮮青年同盟(朝青)が1人でも多くの子どもたちに民族心をと、日本学校に通う同胞生徒を対象に運営している青年学校。受講生たちは朝鮮の文字と言葉を学ぶ過程で、それまでの「お父さん」「お母さん」を「アボジ」「オモニ」と呼ぶようになるなど、着実に民族の心を取り戻しつつある。朝青千葉・朝銀支部本店班、朝青大阪・東成支部が運営する青年学校を訪ねた。
開講から 1年心に変化 朝青千葉・朝銀支部本店班 朝青千葉・朝銀支部本店班が運営する青年学校は、昨年2月にスタートした。受講生は、千葉市内の日本学校に通う小学3年から高校3年までの6人。「小学生も含めたのは、ゆくゆくは千葉朝鮮初中級学校に編入してもらえれば、との思いから。また、みんなゼロからのスタートなので、年の差は問題にならない」と、本店班班長を務める金圭錫さん(25)は語る。 授業は毎週金曜午後6時から1時間、総聯千葉県本部会議室で行われ、朝青員たちが受講生たちの送迎を行っている。開講にあたっては、対象となる40数件の同胞宅を朝青員たちが勤務後、毎日のように訪ね、父母と子どもたちと話し合った。その結果、親が了解し、自らも「朝鮮語を学びたい」との意志を示した子どもたちが受講生になった。 講師は、李錦伊さん(22)と金陽愛さん(同)。共に朝鮮大学校師範教育学部(現教育学部)の卒業生だ。李さんが男子、金さんが女子を受け持っている。 金潤くん(小5)は現在、野菜や乗り物など、朝鮮語の単語の読み書きを一生懸命覚えている最中だ。一方、高1の佐藤好美、中3の佐藤奈美子姉妹は一歩先を進み、名詞をはじめ動詞や形容詞、基本的な対話などを学んでおり、簡単な文章も書けるようになった。 講師によると、開講から1年が過ぎ、受講生たちの心には大きな変化が表れ始めたという。好美さんは会話が上達するにつれ、「卒業旅行は朝鮮に行きたい」と語り、潤くんに至っては、母国語をもっと習うために「中学からは朝鮮学校で勉強したい」と口にするようになった。 また、朝青員たちが引き続き対象者宅を訪問したかいあって、4月からは新たに3軒の子どもたちが青年学校に通う意志を示しているという。(李賢順記者) 講師は同世代の朝高生 朝青大阪・東成支部 1998年四月に開講した、朝青大阪・東成支部青年学校。週1回の運営だが、これまで1度の中断もなく授業を進めてきた。 東成青年学校の特徴は、受講生と同世代の朝高生が講師を務めていることである。朝高生と日校生が触れ合う場を提供しようというのが、その目的。毎年、大阪朝鮮高級学校の3年生2〜3人が、年間を通じて日校生に朝鮮語を教える。 2000年度最終日の授業だった先月26日。受講生は中1から高2までの10数人、講師は金成寿さん(18)、金奈美さん(18)らが担当してきた。この日の授業は子母音の読み書きのおさらいだ。 「ソンセンニム(先生)が母音を書いていくから、子音を書き加えて、ウリマル(朝鮮語)の字を完成させてみて」「それではソンセンニムの後に付いて読んでみましょう」―。成寿さんのはつらつとした声が響き渡る。気心知れた友人同士とあって、みな仲良く、教室は笑いが絶えない。 1年間、講師を務めた奈美さんは、「字も読めなかった子たちが、学んでいくうちに語学の楽しさを覚え、祖国に関する質問も積極的に投げかけてくる。日校生のみんなが、祖国と母国語を知り、問題意識をもってとらえるようになってくれたのが一番うれしかった」と感慨深げ。成寿さんも、「一生懸命、勉強する日校生の姿を見て、自分も必死に勉強しないとだめだと思った。自分自身も多くを学んだ1年間だった」。 中2の時にサマースクールに参加して以来、4年近く青年学校で朝鮮語を学んでいる趙哲成さん(17、大阪学生会会長)は、「青年学校は、気心知れた同じ日校生が集まる、学びの場。同胞同士の『つながり』を感じる」と語る。 今春からは、3年生になる呉賢守さん(17)が講師を務める。「朝高生と日校生が一緒にサマースクールの勧誘にいくなど、日常的に交流を持っていきたい」(呉さん)と意気盛んだ。(柳成根記者) |