こちら同胞生活相談綜合センター
小倉
「特養ホーム」独自に開設へ
「同胞社会の特色に合った施設を」2002年オープンめどに
相談案件100%解決「結果」見てほしい
センター事務所が置かれた |
李基浩所長 |
年間に70〜80件
小倉同胞生活相談綜合センター(福岡県北九州市小倉北区)は、昨年10月に開設された。 総聯福岡・小倉支部に事務所を構えているが、現在センターに寄せられている相談案件は、センター開設以前は小倉支部に寄せられ、支部で解決してきた。年間平均で、70〜80件。開設後は月に15件ほど寄せられているという。 したがって、センターを運営する「土台」は開設以前からできあがっていた。李基浩所長(総聯小倉支部委員長)も「従来、小倉支部が取り組んできた、同胞密着・奉仕の延長線上」にあることを強調する。 ただ、センターという看板を掲げて以降、地元の同胞の関心が高まったのも事実。「それだけ、同胞が抱える生活上の悩みが多いということでしょう。案件数の増加はセンターに対する期待と信頼の表れと見ています」(李所長)。約3900人の同胞の心のよりどころとなっているようだ。 小倉センターに寄せられる相談案件で多いものは、冠婚葬祭、高齢者福祉、祖国訪問や海外旅行の手続き、法的問題、職業あっせんなどだ。中でも冠婚葬祭と高齢者福祉問題が、全体の半分近くを占める。 また、商売を営む同胞にとっては、今は確定申告と年度末決算で忙しい時期。経営・経理、税務・税法上の相談は、地域の商工会とタイアップして解決を図っている。 市行政にも積極的に 昨年4月に介護保険制度がスタートして以降、「同胞の関心が急速に高まり、またセンターでもとくに力を入れている分野」(李所長)が福祉の問題だ。センターには、要介護認定や同胞ヘルパーの派遣、同胞介護業者の紹介など、様々な相談が寄せられる。 小倉センターでは現在、地域の同胞商工人の全面的なバックアップを得て、センター独自の「特別養護老人ホーム」(特養)の開設計画を進めている。 1世同胞には、食文化など生活習慣の違いやコミュニケーションの問題、無年金問題など、福祉の恩恵にあずかるには多くの壁が存在する。そこで、センターでは「同胞社会の特色に合った同胞高齢者施設」を作る計画は前からあったという。今回の特養開設構想もこうした現状に即したもので、2002年のオープンを目標にしている。 小倉支部では、センター開設以前から、地元の北九州市に働きかけ、昨年10月には市から開設認可を得た。「センターが公共施設として認められれば、運営費用に対する免税が認められ、浮いたコストを同胞へのサービス向上にあてられる」(李所長)。センターでは、開設認可を第1段階として、今後も開設実現に全力を注ぐ構えだ。 「弁護士もっとほしい」 大手全国紙に広告を掲載したことなどもあって、小倉センターの名は地域でも徐々に浸透しつつある。 「広告を見た同胞がセンターを訪れる。相談案件を解決すれば、同胞の間でセンターの存在が口コミで広がり、さらなる宣伝になる。どんな相談ごとも親身になって100%解決するという『結果』が伴わないと、同胞はセンターを心から信頼はしてくれないんです」と、李所長は語る。 そのためには、専門相談員である同胞有資格者の力が必要だが、他の多くのセンターがそうであるように、小倉センターでもまた、同胞有資格者の人材不足という大きな悩みを抱える。 センターには現在、弁護士、司法書士、土地家屋調査士の同胞が1人ずつ、2級ヘルパーが2人、正看護婦が4人おり、すべての分野をフォローする態勢は整っている。同胞弁護士がいないセンターも少なくないことを考えると、多少は恵まれているとも言えるが、「法的問題を扱う同胞弁護士は多いほど良い。相談は毎日あっても良いほどですから。1人で地域全体を見るのは大変なんです」(李所長)。悩みは尽きない。 センターが目指すのはあくまで、巡回相談員と専門相談員がフル回転する「地域密着・同胞奉仕型のセンター」。今後も、より多くの相談を受け付けるとともに、福祉分野に全力を傾けていくという。 |