各地の朝鮮商工会
「確定申告」相談業務ピーク
商工人の質問に丁寧に答える職員
全国各地の朝鮮商工会で、確定申告に関する相談業務がピークを迎えている。確定申告を円滑に行うことは、同胞商工人の暮らしと経営を守るうえで非常に重要な問題。各地の商工会では、長引く不況のさなか、商工人の企業権と生活権を守り、経営を全力でサポートしようと奮闘しており、商工人も「親身な応対は心強い」と、大きな信頼を寄せている。滋賀県、奈良県商工会を訪ねた。(柳成根記者)
滋賀県商工会 泊りがけで県内奔走 大津市の滋賀県商工会では、李守理事長をはじめ5人の職員がひっきりなしに訪れる同胞商工人の応対に追われていた。先月の1ヵ月間、商工会に寄せられた確定申告に関する相談案件は約310件に達した。 滋賀県は北から湖北、甲賀、湖東、大津と4つの地域に分かれるが、各地域の商工会職員はみな非専従のため、地域ごとに経理問題を専門的に担当することは難しい。そこで、地域の同胞商工人を十分にサポートするため、県商工会が精力的に動き回っている。 商工会では今年、1月末に4地域で税務講演会を開き、計80人以上の同胞商工人が参加した。2月からは、確定申告に関する相談業務が本格的にスタート。 湖北地域では1泊2日、甲賀地域では2泊3日の日程で行われ、県商工会職員が泊まりがけで業務に当たった。 李理事長は、税務問題は商工会にとって、全力で取り組むべき最も重要な問題だと強調する。 「長引く不況と金融不安で、同胞商工人は厳しい経営を強いられており、税務への関心も高まっている。こういう時こそ、同胞商工人が抱える経営・税務上の様々な悩みを解決していくのが、商工会」 県内には、土木・建築業や飲食業を営む同胞が多いという。確定申告における様々な疑問や悩みに親身にこたえる商工会職員の姿勢は、同胞商工人に大きな安心感を与えているようだ。 草津で20余年間、産業廃棄物処理業を営む同胞は、「事業を興した当初から、商工会にはお世話になっている。確定申告については私たちも知らないことが多いが、そういう初歩的な疑問にも懇切丁寧に答えてくれる。本当に心強い」と語る。同胞商工人にとって商工会は欠かせない存在だ。 奈良県商工会 職員3人がフル稼動 奈良市の奈良県商工会には毎年、確定申告の時期になると、110件前後の相談が同胞商工人から寄せられる。 県内には地域商工会がないため、県内の税務業務は県商工会が一括して見ることになる。職員は、金昌孝理事長、金成男総務部長(経理室長兼任)ら3人。 「職員が少ないので、必然的にこの時期はとてつもなく忙しくなる」(金理事長)そうだが、地域の同胞商工人が抱える経営上の諸問題を解決すべく、業務に励んでいる。 県内の同胞商工人の業種は、土木・建設と生産業、朝鮮料理店を含む飲食業で、全体の半分以上を占める。そのほとんどが中小零細企業だ。彼らの経営をサポートするには、「正直、職員が少ないのがネック」と、金理事長は話す。 だが、厳しいなかでも、同胞に親身に応対する職員の姿勢は、地元の同胞商工人からも好評で、「経営経理上の様々なアドバイスを受けられ、非常に心強い」との声が多く聞かれた。 時期が時期だけに税務問題が業務の中心になりがちな商工会において、金理事長が強調するのは、融資あっせん業務の強化。 「商工会では税務だけでなく融資問題など総合的に扱うべきなのだが、なかなかうまく行かないのが現状。県内の商工人の期待に応えるためにも、今後は融資問題にも全力で取り組みたい」と語っていた。 |