北・南歴史学者共催の討論会・資料展示会

インタビュー

チョン・チャンギュ
社会科学院歴史研究所
所長

リ・ソンム
南朝鮮の国史編集委員会委員長


 日本の植民地支配の清算問題をテーマに、学者討論会と資料展示会を開催した北南の歴史学者は、民族の利益を実現するために平壌に集い、手を取り合った。6・15共同宣言が歴史学者らに課した使命、またこのたびの討論会、資料展示会の意義について北南の学者にインタビューした。(平壌発=金志永、李鉉民記者)

日帝の罪過糾明が使命

チョン・チャンギュ
社会科学院歴史研究所所長

 行き来すらできず、意見すら交換できなかった北と南の歴史学者たちが一堂に会した。とても意義深い日々だった。

 北南の歴史学者は6・15共同宣言の精神を掲げ、心と知恵を集めるだろう。民族の辛い歴史を2度と繰り返してはならないからだ。

 北と南の歴史学者は、初の共同行動の主題を日本の過去の清算問題に定めた。

 日本の支配層は、過去の侵略的な蛮行を1世紀が過ぎた今になっても「合法」「適法」だと言いながら、歴史をねつ造している。

 このような状況からして、われわれ学者たちに課せられた課題は、歴史的な資料をもって日本帝国主義の罪行を明らかにすることだ。朝・日国交正常化交渉が行われている状況から、日帝の朝鮮占領の不法性、つまり「乙巳五条約」(1905年)をはじめとする旧「条約」が不法で無効な詐欺「文書」だということを証明することに研究の狙いを定めなくてはならない。

 北の歴史学者たちは、今まで「日本帝国主義の朝鮮侵略」などの書籍を執筆し、40余年間にわたる日帝の侵略と略奪、弾圧と虐殺を証明する数多くの資料を集め、整理してきた。

 今後は北と南が共同でこの作業を進めることができるようになった。

 今回、南側が持ってきた資料の中には新しいものがある。われわれが存在を確認していながらも、入手できなかったものが少なくない。北の歴史学者たちは、南の学者が提供した資料に基づき、自らが執筆した図書や論文をさらに補強し、完成していくだろう。

民族の将来への貢献

リ・ソンム
南朝鮮の国史編集委員会委員長

 北と南は分断による傷を癒し、同質性を取り戻すため、言語、歴史、民俗などの人文分野において1つになるために共同で努力するべきだ。われわれは、数千年の歴史を共有してきた。この分野における一致点を見出し、今後進むべき道を論議することが望ましいだろう。

 今回、平壌で行われた共同資料展示会、討論会を出発点とし、今後南北の学者たちが共通の関心事をテーマにして討論会を開催し、お互いが持っていない資料を交換できるようになることを期待する。

 そして何よりも人的交流を拡大するべきだ。私たちの歴史について相手がどう思い、どのように評価しているかという問題をすぐに解決しようとするのではなく、長期的なビジョンをもって論議を深める必要がある。そうすれば必ず実を結ぶことが出来るだろう。

 われわれは、民族の将来に寄与する共同の取り組みを、日本の歴史わい曲に対する対応から出発しようと思う。

 日本は自分たちが犯した罪過について正直な謝罪を行うつもりがない。首相らが形式的な謝罪をしただけであって、天皇は言葉を選んでいる。また、政治家は日本の植民地統治を美化粉飾する妄言を吐き、歴史教科書にすら、自分たちの過ちを事実通りに記録しようとしない。

 6・15共同宣言を実践する南北の歴史学者の課題は山積している。われわれは分断後に違う道を歩んできただけに、歴史研究における微妙な問題は後にして、共通の関心事から取り組むべきだが、日本の教科書問題に対しては、直ちに対策を立てるべきだ。

 南北がこのような問題に共同で対応することは当然のことだ。南であれ北であれ誰もが理解するだろう。そうしなければ、歴史学者らは全民族から叱咤されるであろう。

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