「朝鮮料理と健康」

東北朝高のアンケートから

94%がキムチを食べる
好きな料理一位はチヂム


アンケート項目

1.トンムはキムチを食べられますか?
 @ 食べられると答えたトンム、週にどれくらいの割合で食べますか?
 A 食べられないと答えたトンム、食べられない理由は何ですか
2.トンムの家ではキムチを食べますか?
 @ 家で食べると答えたトンム、キムチを家で漬けますか?
3.トンムの家では朝鮮料理、もしくは朝鮮風料理を作りますか?
4.トンムの家では祭祀(チェサ)をしますか。
 @ すると答えたトンム、朝鮮料理を飾りますか?
5.朝鮮料理は好きですか?
 @好きと答えた理由は。
6.トンムが好きな朝鮮料理を3つ上げてください。

韓啓司 (恵クリニック院長)

 「朝鮮料理と健康」というテーマに以前から取り組んできた恵クリニックの韓啓司院長が今年1月、東北朝鮮初中高級学校の生徒、学父母らの前で講演した際、中、高級部の生徒を対象に朝鮮料理に関するアンケート調査を実施した。その結果の1部を、韓院長の解説とともに紹介する。

  今年1月10日、東北朝鮮初中高級学校を訪ね、「朝鮮料理と健康」をテーマに講演した。

 在日の医療人として、同胞の健康を守るために何らかの役割を果たしたいと、これまでもこのテーマで、朝銀や総聯支部、女性同盟主催の講演会に出演してきた。その対象は1、2世が中心だった。

 私のような2世は、1世の多大な努力により、政治的、経済的に保護され、民族学校において十分な教育を受けてきたおかげで、異国においても朝鮮人としての誇りを持って生きてこられた。しかし、私たちの子供たちである3世、そして4、5世たちがこれから日本で暮らし続ける中で民族の誇りを持ち続けられるだろうか。

 そう考えた時、私たち2世に課せられた役割は、民族の誇りを伝えていくことだと常々感じていた。

 民族意識を培う上で最も大切なのは言葉だ。そして、次に重要な影響を与えるもの、それが食文化ではないだろうか。言葉と食文化は日常生活において欠かせないものだからこそ、民族意識に最も影響するのである。

 そういった意味で、3世をはじめとする新しい世代の朝鮮料理に対する考えを知ることは、彼らの民族意識を計る重要な物差しになるだろう。そのような思いから、東北朝鮮初中高級学校を訪れたのである。

 講演に先立ち、中・高級部の生徒145人を対象にアンケート調査を行った。

  その結果、次のようなことが判明した。

 @生徒の89%は在日三世A94%がキムチを食べているB75%の家で祭祀(チェサ)をしているC92%が朝鮮料理を好きD朝鮮料理を作っている家庭は93%E71%が家庭でキムチを漬けているF生徒たちの好きな朝鮮料理ベスト3は、チヂム、ピビンパ、キムチだ。

 これらを分析してみると、民族教育の対象が大部分三世であること、民族学校に子供たちを通わせている家庭では朝鮮料理をよく食べること、伝統的な祭祀の仕方を守ろうとする家庭が多いこと――などが分かった。

 好きな朝鮮料理のベスト3が、チヂム、ピビンパ、キムチであることにとても安心した。生徒たちがチヂムやピビンパを好む理由は、家庭でそういった料理を食べ慣れているからだ。祭祀の飾りなどにチヂムが使われるので、幼い頃から違和感なく受け付ける。

 チヂムやピビンパなどは様々な食材を使っていて栄養のバランスが非常に良い。しかも、これらが上位に上がることは、朝鮮人の食生活が決して肉に偏っていないことを示すものだ。

 キムチは今や、日本人の間でも72・3%の若者が「好き」と答えるほど浸透している。まして、在日の若者たちは、今回の調査だけ見ても94%が「食べられる」と答えた。

 キムチは野菜が不足する冬にビタミンCを補う目的で漬けられてきた。というのも、材料となる白菜や唐辛子にビタミンCが豊富な上に、唐辛子やにんにくにビタミンCの破壊を抑える働きがあるからだ。

 最近の研究では、ガンの予防になると言われるビタミンA、C、EのうちA、Cが多く含まれていることが分かった。しかも、食物繊維が非常に多いので、ガン予防に最適だ。

 朝鮮の食文化を守ることは、健康を維持する上でも非常に効果的である。

 今回のデータはほんの一部に過ぎない。今後はさらに多くの生徒たちを対象に調査をしていく予定だ。

 在日3、4、5世の未来のためにも、私たち2世が、1世から学んだ民族文化を伝えることの大切さを肝に銘じ、それぞれの立場で力を発揮して行ければよいのではないだろうか。

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